代表質問・一般質問

令和5年12月定例会

金岡 貴裕かなおか たかひろ

質問日 令和5年12月5日(火)
区分 一般質問
一問一答
  • 障がいのある人等の避難について
  • 熊の頻出問題について

令和5年12月定例会 本会議 一般質問(金岡議員)

障がいのある人等の避難について

金岡 貴裕

平成25年の災害対策基本法の改正により、情報の入手や自力での避難等が困難なことから、大規模な災害時に最も被害を受けやすい弱い立場の高齢者や障害者など要配慮者の人たち、支援が必要な方、避難行動要支援者について名簿の作成が市町村に義務づけられた。
本市の避難行動要支援者支援制度に関する現状と周知における課題について問う。

防災危機管理部長

本市が作成している避難行動要支援者名簿は、一定の要件に該当する全ての方を掲載した全体名簿と、民生委員など、地域の関係者への情報提供に同意した方を掲載した同意者名簿の2種類の名簿を管理している。
令和5年10月末時点で全体名簿登録者は1万8,799人、同意者名簿登録者は6,579人、さらに、要支援者が自らの避難計画をまとめた個別避難計画の作成者は2,049人。あらゆる機会を通じ本制度の周知に努めてきたが、同意者名簿への登録者が約35%、同意者名簿登録者のうち個別避難計画の作成者が約31%にとどまっている現状を鑑みると、対象者に見合った周知・啓発や、支援者確保の困難さに課題がある。

金岡 貴裕

福祉避難所の確保・運営ガイドラインが令和3年5月に改定されたが、指定福祉避難所への直接の避難の促進、一般避難所において要配慮者スペースの確保、必要な支援を行うと記載の追加がされた。
これらのことが本市施策の中でどう反映されているのか伺う。

防災危機管理部長

直接避難を想定した福祉避難所を確保することは、施設側の人員体制や受入れ環境を整備していただくことなど、事業者への影響も少なくないことから、現時点では難しい。
要配慮者にとっては、直接避難が実現することにより早めの避難行動につながることが期待できることから、今後、直接避難も含め、あらゆる状況を想定した避難所の在り方について検討を進め、福祉避難所に限らず、市の指定避難所においても避難された方々が安心して避難できる環境が整うよう、平素からの備えを進めたい。

熊の頻出問題について

金岡 貴裕

今年の熊の頻出については、どこが対応するのか問う。

農林水産部長

人身被害発生を防止するため、農林水産部が一元的に担っている。
熊の出没情報が市に寄せられた場合、農林水産部は現地対応として、警察、実施隊と連携し出没現場の確認を行い、周辺パトロールの実施や、広報車、防災行政無線で近隣住民へ広報活動を行うほか、状況に応じて捕獲を実施。
現場確認の結果を速やかに市の関係部局に情報提供し、市民生活部は地区センターを通じて自治振興会や町内会の地域団体へ、教育委員会は小・中学校の学校関係へ、こども家庭部では保育所へ、それぞれ現場周辺の団体や施設に対して情報を伝達し、注意喚起を促している。

金岡 貴裕

前回被害の大きかった令和元年になかったが、昨今の災害の激甚化を踏まえて防災危機管理部が誕生した。
富山市南部を中心に熊被害が甚大で、多くの市民に命の危険が迫っていると感じる。
防災危機管理部として、どのように考えているか問う。

防災危機管理部長

様々な危機事象のうち、対策本部や連絡体制が整備されている事案については、各担当部局が初動対応や関係部局との連携を図るとされているから、熊の出没の対応については、一義的に農林水産部が主体となって対応すると認識している。

金岡 貴裕

県は、危機管理局防災・危機管理課が管理している富山防災WEBで熊の出没情報や「クマっぷ」を掲載するなど注意を呼びかけていたため、本市においても防災危機管理部が担当すると考えていた。
市民の安全を守ることが今回の問題の本質であり、周知したというのであれば、今回の本質と照らせば、真っ先に名のり出るべきではなかったかと考える。
熊の出没に対して、どういったときに猟友会に対して出動を要請したか、また、どんな方々が対応されたか問う。

農林水産部長

熊の出没情報が市に寄せられた場合、地域の猟友会から選ばれ、市長から任命された鳥獣被害対策実施隊員に、現場で状況確認や周辺パトロール及び捕獲活動の業務のため、その都度出動していただいている。
通常の書面申請による許可では、時間的余裕がない緊急時は捕獲ができないことから、実施隊員に緊急捕獲許可証を発行しておき、熊出没時に捕獲の緊急性を県が認めた場合、迅速な捕獲が可能となる仕組み。
緊急捕獲許可証の交付人数は、県の規定により旧市町村単位で12名以内と定められ、実際に熊対応に当たる実施隊員は、緊急捕獲が可能な12名が中心となり、熊は朝夕を問わずどこに出没するのか分からないため、対応いただいている実施隊員の方には相当な負担がかかる状況となっている。

金岡 貴裕

この12名の方に対する負担は相当なものと考えるが、猟友会の出動者への対応について問う。

農林水産部長

人身被害の発生の可能性がある場合の出動に対する報酬は、出動回数に応じて1日最大9,000円の日額報酬制度を見直し、出動手当の拡充を図った。
緊急捕獲の際は、捕獲の確実性を高めるため、できるだけ多く実施隊員に来ていただく必要があるが、12名の方は、豊富な経験に加え、出動に当たり本業の制約の少ない方、自営業から呼ばれることが多く、選抜者が限定される状況と聞いている。
緊急捕獲許可証の交付者の選抜は、各地の実施隊、猟友会において決定されているが、今後は幅広く、会社に勤務している実施隊員も熊の捕獲に携わりやすくなる仕組みを検討し、実施隊員の負担を減らしたい。

金岡 貴裕

猟友会の方に対して、ヘルメットやサーマルスコープの支給、デジタル無線の配備など、活動しやすい支援をすべきと考えるが見解を問う。

農林水産部長

実施隊員の安全確保は何よりも重要ですから、必要とする安全装備の支援に努めたい。
警察官職務執行法の適用については、住民への避難指示や警察と実施隊による手順の調整が必要なため、捕獲の命令に至るまでにある程度時間がかかることが課題になっており、県、警察、実施隊と共に、住宅地付近での様々な状況における捕獲手順の事前確認を行うなど、現場で迅速な対応が図られるよう、捕獲に係る関係者間の連携強化に努めたい。

金岡 貴裕

情報発信の徹底について見解を伺う。

農林水産部長

広報やホームページをはじめ、テレビ・ラジオの活用や回覧チラシの配布を通し、必要に応じて出前講座を行うなど、様々な方法で注意喚起を促してきた。
本年は警戒チラシの全市的な配布や、人身被害発生時には富山市公式LINEに登録している市民全員へ注意喚起を実施するなど、山間部や平野部を問わず、可能な限り多くの市民を対象とした情報発信を行ってきた。
今後も人身被害防止を図るために必要な情報を、市民の方に迅速かつ的確に伝えることを徹底したい。