令和6年6月定例会 本会議 一般質問(久保議員)
被災した公共施設について
久保 大憲
本市は、令和6年能登半島地震で観測史上初めて震度5強の揺れを観測し、学校などを含む204の公共施設で破損が確認され、57か所の避難所が含まれていた。
市内の公共施設の中には40年以上経過した施設や耐震補強から25年以上経過している施設もあり、見た目は大した破損でなくとも、耐震強度が基準を下回っている可能性がある。
建築基準法や学校安全保健法では、必要な措置を講ずるよう努力義務が課せられている。
富山市耐震改修促進計画では、能登半島地震ではなく、呉羽山断層帯地震を想定しており、呉羽山断層帯地震に備えて必要な措置を講ずる必要がある。
先日、野上参議院議員にお願いし、国土交通省、文部科学省、総務省の担当者と意見交換をした。令和6年能登半島地震で施設が損壊したことを把握しておきながら措置を行わなかった場合に、呉羽山断層帯地震が発生し、公共施設や人的被害が生じると市が不作為に問われるリスクは高くなるとのこと。
令和6年能登半島地震で損壊、破損した公共施設について、破損状況や築年数などから必要があれば耐震診断を実施すべきではないか。
建設部長
地震により被災した施設をはじめ、市が管理する施設について定期的な劣化状況調査や法定点検などを踏まえ、緊急性の高いものから改修を実施し、必要に応じて耐震診断を行い、安全性確保と維持保全に努めてまいりたい。
いじめの重大事態について
久保 大憲
本市のいじめの重大事態の件数は、北部中学校の自殺事案が発生するまで、令和3年度は1件、令和2年度は1件、令和元年度は0件だったものが、令和4年度は10件、令和5年度は11件と大幅に増加した。増加した理由について問う。
教育委員会事務局長
市教育委員会で作成したいじめに関する資料を活用した校内研修会のほか、校園長会やいじめに関する研修会等を通じて一人一人の教職員にいじめ防止対策推進法をはじめとした関係法令等に対する正しい理解が浸透し、疑いも含め、重大事態としての適正な認定や保護者の意向を尊重した対応が推進されてきたことが主な要因と考えている。
久保 大憲
しっかりと指導したら件数が増えたということは、それまで見落としていたということ。改善を求める。
いじめの重大事態として調査した結果、いじめが要因ではないと判断した件数について問う。
教育委員会事務局長
令和元年度から令和5年度までに発生した重大事態23件のうち、いじめとの因果関係が確認できなかった件数は、現時点で2件。
久保 大憲
2件のうち1件は北部中学校の事案、もう1件は昨年11月に報道で取り上げられた不登校重大事態の事案。
自殺事案は、被害児童・生徒が意思表示できないことから、いじめと自殺の因果関係は第三者委員会や場合によっては裁判所が判断することになる。この場合、いじめと自殺の因果関係が認められないケースも一定程度ある。
しかし、不登校重大事態では、被害児童・生徒が直接もしくは保護者を通じて意思表示ができる。いじめが原因で不登校になったと主張する児童・生徒に対して、いじめが原因ではありませんと市教育委員会から突きつけられた被害児童・生徒の気持ちは察するに余りある。
先日、匿名の相談を受けた。市内で深刻ないじめの重大事態が発生している。学校や市教育委員会がもみ消すのではないかと不安なので対応してほしいとのことだった。いじめを訴えてもなかったものとして処理されるのではないか、こういった不安が被害児童・生徒や保護者に広がっている。
すぐに市教育委員会に確認したところ、訴えを無視したり、対応を拒むことはなく、もみ消すことはあり得ないし、できない仕組みとなっているとの説明を受けた。
相談くださった方は経緯を見守っていただきたい。
学校や教育委員会は、警察や検察とは違い、任意の調査しかできない。加害児童・生徒は隠そうとしてうそをつく場合、覚えていない場合、無意識・無自覚で被害児童・生徒を傷つけていた場合もある。調査で何も出てこないことは十分あり得る。被害児童・生徒の主張を確認できなくとも、いじめがなかったとは断言できない。見つけることができなかっただけ。
市教育委員会は、いじめを確認できなかったときに、司法のまねごとで疑わしきは被告人、つまり加害者の利益として被害児童・生徒の主張を否定するのではなく、疑わしきは被害者の利益にという姿勢で被害児童・生徒に寄り添い、保護者と連携しながら被害児童・生徒の生命、心身を保護し、いじめを克服することに全力を尽くしていただきたい。
先日報道された不登校重大事態では、主治医の診断書が提出された。診断書には、いじめによって心的外傷ストレス障害を発症したと明記してある。重大事態の解説には、精神被害について、精神性疾患の発症や悪化は医師の診断に基づき判断すると明記してある。
市教育委員会は、医師の診断書を受け、改めて関係記録を検討したが、これまでの判断や結論を変更するべき部分は見当たらなかったと一蹴した。
この先、市教育委員会が自らの判断や結論が被害者の主張や医師の診断書よりも正しいと独善的な対応を繰り返すようになるのではないかと危惧している。
被害児童・生徒の主張と学校や市教育委員会との見解が真っ向から異なる場合は、被害児童・生徒のためだけでなく、この先、いじめの被害を受ける児童・生徒のため、市教育委員会のためにも市長は積極的に再調査をすべきと考えるがどうか。
市長(藤井 裕久)
いじめ重大事態の調査結果に係る市長への報告を受けた場合、被害児童・生徒と教育委員会との見解の相違の有無に関わらず、全ての調査報告書や保護者から提出される所見の内容などを十分に精査した上で、全ての事案について客観的に検証している。
いじめ防止対策推進法の趣旨、あるいは国のガイドラインをしっかり踏まえ、私が客観的に行った検証結果を基に市長として公平・中立な立場で再調査の判断をする。
私も久保議員と同様、市民に寄り添う、心を寄せるということを政治信条の旨としており、市民のことを思い、市民に寄り添う、現場へ赴く、こういう気持ちは同じである。
自衛隊との連携強化について
久保 大憲
現在、医療・介護の現場や建設現場、飲食店など、あらゆる分野で深刻な人手不足となっている。特に公共交通機関の運転手不足は深刻である。
令和6年4月8日に、青森県弘前市が防衛省自衛隊青森地方協力本部と地域を支える公共交通の人材確保に向けた連携協定を結んだ。
本市も、弘前市の例を参考に自衛隊協力本部と協定を結び、市として人材確保に協力し、市内の人材不足の解消につなげてはどうか。
市長(藤井 裕久)
人材不足の問題は、運輸、交通あるいは医療、介護、建設業など、既に様々な分野で顕在化してきている。今後、加速度的に進行する人口減少によってこうした問題はさらに深刻化していく。市民生活に直接影響を及ぼす喫緊の課題であると考えている。
自衛官が職務を通して身につける知識あるいは技術、資格や免許などは企業等からも大変高く評価されている。企業等にとっては退職自衛官の採用は即戦力となる優秀な人材を確保することに直接つながる。
自衛隊との連携については今後検討する。