代表質問・一般質問

令和5年3月定例会

泉 英之いずみ ひでゆき

質問日 令和5年3月6日(月)
区分 一般質問
一問一答
  • 林道有峰線東岸区間の工事再開について
  • 県営ジャンプ台の利用改善について
  • 不登校特例校と小規模特認校の共生について
  • 観光分野における広域連携について

令和5年3月定例会 本会議 一般質問(泉議員)

林道有峰線東岸区間の工事再開について

泉 英之

富山市民にとっての有峰林道は薬師岳登山のときに通る山岳道路程度の認識であろうと想像していますが、80万キロワットに上る水力発電以外にも、富山市の水道水を供給している有峰ダムの管理道路として、また、国土交通省の立山砂防工事の人員や資材運搬道路として重要な役割を果たしています。概ね40年ほど前より国の森林開発公団が富山県の旧大山町と岐阜県の旧上宝村を結ぶ約50キロメートルの広域林道高山・大山線として工事が始められ、緑資源公団に変更後、山のみち地域づくり交付金事業として富山県に移管されて現在に至っています。
また、岐阜県側の拡張は既に15年ほど前に全線整備が完了しており、富山県側は県境から有峰湖南部とダム湖の北西部から大山地域に至る2車線化の難工事も一昨年竣工を終え、全線50キロメートルのうち僅か8キロメートルを残すばかりとなっていましたが、絶滅危惧I類のハクバサンショウウオの生息が確認されたとして、富山県は昨年3月31日に当面の工事を見合わせるとして、今年度は工事が中断されています。
そこで、この工事は富山市の重点事業の1つに挙げられているが、富山県からどのような説明を受けたのか答弁を求めます。

農林水産部長

林道有峰線東岸区間の工事中止の説明については、令和4年3月31日の県知事定例記者会見において発表されたものと同じ内容を県の担当者から事前に説明を受けた。
 説明の内容としては、東岸区間の工事を当面見送るというもので、その理由としては、現地に生息するハクバサンショウウオの保全対策をどう進めるか時間をかけて検討していくことが適切であると判断したと伺っている。

泉 英之

例えるなら、北陸新幹線の開通は富山県民にとって長年の夢がかなった出来事でしたが、この広域林道の全線整備は、旧大山町民にとってはそれにも増した大いなる希望であると申し上げておきます。
平成17年の合併から18年、令和4年3月末までの地域別人口の推移を見てみると、旧婦中町を除き、中心部への集中財政投資や居住誘導を行った旧富山市でさえ約3,700人減のマイナス1.15%であるのに対し、旧八尾町はマイナス16.02%、新富山市の面積の46%を占める旧大山町に至っては1万人を大きく割り込み、9,149人のマイナス21.3%と激減しています。
 そんな中、合併前には旧八尾町と同水準であった旧大沢野町はマイナス6.34%にとどまっていて、八尾地域や大山地域のような、いわゆる行き止まりのまちにはない、1本の国道の力により大沢野地域の経済的価値が維持され、人口減少の歯止めの効果が容易に見てとれます。
 これまでの40年間の工事費は概ね500億円を超えた費用が投じられていますが、2県をつなぐこのような工事について、工事費の負担割合はどのような配分になっているのか答弁を求めます。

農林水産部長

林道有峰線の改良工事は、国庫補助である山のみち地域づくり交付金事業を活用し実施されているもので、その事業費の負担割合としては、国が72%、事業主体である県が23%、残り5%が地元負担となっている。
なお、地元負担の5%については、林道改良の受益者となる県、市、北陸電力株式会社の3者において負担割合に関する覚書を取り交わしており、おのおのが享受する受益面積及び森林資源量の割合に応じて、県が3.106%、市が0.507%、北陸電力株式会社が1.387%を負担する。

泉 英之

この路線でも岐阜県の旧上宝村で天然記念物のイヌワシの生息が確認され、四、五十メートルの高い大きな樹木が近隣に多く植生していることと、工事中の騒音がなくなれば餌場の地域に戻ってくるというイヌワシの習性が決め手となり、1年ほどで再開された例がありました。
 約3週間前に、林野庁森林政策課林道事業班の担当官と面談をいただき、私からの絶滅危惧種の存在とはどれほどの効力を持っているのかとの問いに対し、「ハクバ」という名前がつけられていることから推察すると、長野県白馬地方を中心に生息が予想されることから、有峰湖に流れ込むその他の渓流にも生息が確認された場合は、その存在価値は希薄化されるので、もっと広範囲に調査をしてはどうかと助言をもらいました。
 有峰南岸線の東谷や西谷に加え、有峰西岸線の藤十郎谷、冷タ谷でもよく見かけるとの情報もあることから、その他の渓流についても生態調査の範囲を拡大するよう富山市から富山県に対して要望してほしいと考えますが、見解を求めます。

農林水産部長

林道有峰線近辺に生息する絶滅危惧種であるハクバサンショウウオの生態調査については、県に確認したところ、生息する生物への影響を回避、軽減する工法を検討することを目的に工事により影響を受ける範囲である東岸区間について調査したもので、有峰湖周辺での広域的な調査については、林道事業では実施する予定はないと伺っている。
 なお、県では、保全対策を今後どのように進めるべきか、野生動植物の専門家などの御意見を伺いながら時間をかけて慎重に検討していくとされているから、本市としては、現時点では適切な判断がなされたものと受け止めており、その経過を見守っているところですが、議員がおっしゃいました要望に関しては、年度当初に重点事業として国や県に対して要望書を提出したところです、本市としては、山のみち地域づくり交付金事業で整備する林道は、本市南部の広大な森林資源を有する山間地を縦横断する幹線林道として森林整備や木材生産、森林アメニティーとしての活用など、森林の総合利用に大きな役割を担っていることから、現時点においては、林道有峰線のみならず、計画のある全ての路線の整備促進について引き続き国や県に対して要望したい。

泉 英之

今回の工事中止の背景には、数名の自然愛好家と100名程度の署名による要望がなされたもので、これに対し地元の自治振興会からは、橋梁等の工法を多用することで残る工事区間8キロメートルが2、3キロメートル短縮され、生息域に進入しないで済むことにより双方の願意が達成できるとした要望書が提出されています。
そこで、延長が短縮されるものの、1メートル当たりの工事単価は上昇してしまうがとの私の質問に対し、林野庁の担当官は、問題解決に向けた路線変更ではよくあることで、単価上昇はそれほど大きな問題とはならず、再開を後押しすることは可能だと思うとの答弁もいただきました。
 これまで述べてきたが、総延長50キロメートルの最後の区間であること、2つ目に、旧大山町民が長年切望している事業であること、3つ目、人口減少の歯止めの起爆剤となり得ること、4つ目、地元の工事負担率の大変小さい事業であること、5つ目、生態調査拡大により希少生物保護の認識が希薄化されること、6つ目、大きな人流の変化が見込めること、7つ目、工法変更により希少生物の保護も可能なことなどの理由により工事の早期再開が見込めると考えているので、今ほどいただいたが、富山市から富山県に対し工事の再開を強く要望してほしいと考えますが、見解を求めます。

農林水産部長

この幹線林道については、森林の総合利用に大きな役割を担っているので、引き続き国や県に対して整備の促進について要望したい。