代表質問・一般質問

令和4年6月定例会

江西 照康えにし てるやす

質問日 令和4年6月15日(水)
区分 一般質問
一問一答
  • 小・中学校の再編から考える都市計画と農政について

令和4年6月定例会 本会議 一般質問(江西議員)

小・中学校の再編から考える都市計画と農政について

江西 照康

統廃合を進めることによって人口減少要因が1つ増えるということになるのに、予測に反映されていない。
予測がずれたときに、コーホート変化率の推移予測のせいするのは、無責任だ。見解を尋ねる。

教育委員会事務局長

少子化の要因については、20代や30代などの女性の人口が減少していることや晩婚化、非婚化が進んでいること、子どもを持つことを望まない夫婦が増えていることなど、一般的に言われていることについては承知している。国が行う少子化対策の動向などにも注視しながら、児童・生徒数の今後の推移についても適切に把握したい。

江西 照康

それは、一般論だ。一般論で言えば、全ての小学校に同様なことが言える。
人口推計は、企画管理部だ。児童・生徒数の推計について、企画管理部は教育委員会から協議を受けたのか。

企画管理部長

市教育委員会が独自に行ったもの。推計作業に必要な情報等については、教育委員会に提供を行っている。

江西 照康

学校の再編に当たり、校区ごとの面積を把握する必要があるのではないか。

企画管理部長

今回の学校再編の議論を進める上においても、個々の児童・生徒の通学距離、これをしっかり把握することは当然必要なことだと考えているが、校区の面積自体を把握することの必要性はない。

江西 照康

意味がないことはない。今回、再編対象校は旧富山市に15校あるが、都市計画の区域区分から見た立地状況の認識について問う。

活力都市創造部長

富山地域の再編対象校は小学校が15校あり、市街化区域内に3校、市街化調整区域内に12校となっている。市街化区域内においても人口減少となっている校区があり、区域区分に関わらず、校区ごとの人口推移が異なると認識している。
今回の再編対象校については、こうした地域の実情などを踏まえて選定され、結果として、市街化調整区域内に多く立地しているものと捉えている。

江西 照康

15校のうち、12校が市街化調整区域であるにもかかわらず、それが都市計画の影響ではなく、全市的な人口減少による児童数の減少だというのは違うのではないか。

活力都市創造部長

人口減少は、区域区分に関わらず全市的にある。市街化区域内においても、以前、市街化区域内の中心部の7校が2校に再編された事例もある。小学生にとってよりよい教育環境を保つため、しっかりと考えていくべきだ。

江西 照康

過去の統合・再編は主に富山市の中心部、中央地区になる。中央地区は現在でも8校ある。北部方面だとか、水橋、呉羽はそれどころではない。もう少し客観的に見るべきだ。
私が問題とするこの市街化調整区域の概要について尋ねる。

活力都市創造部長

市街化調整区域は、都市計画法において市街化を抑制すべき区域とされており、無秩序な市街化を抑制する観点から、原則として開発行為は制限されている。
しかし、一定の要件を満たすもので市街化を促進するおそれがないと認められる場合には、建築することが可能となっている。

江西 照康

市街化調整区域は、基本的に家が建たない、開発できない、そういったエリアであるが、例外があるよという話だ。
その例外は都市計画法の第34条に関わる例外で、例外がポピュラーに通用する制度ではないことは部長もよく知っているはずだ。
昭和の大合併で合併した呉羽、和合、水橋を合計すると旧富山市の面積の約4割を占める。この旧町村は広域な面積の中に小学校が1つずつ。同じ富山市において、そうでないエリアにはたくさん小学校がある。これは1つの都市の都市計画としてふさわしいと考えるのか。

活力都市創造部長

学校再編については、人口減少、少子化を背景に、質の高い教育環境の提供に向け、学校の規模や配置の適正化などについて教育委員会において総合的に検討されている。
都市計画と学校再編は、現在の人口減少や少子・超高齢化などの社会情勢の変化への対応を求められている点においては共通しているが、都市の土地利用などを定める都市計画と教育環境の充実を目指す学校再編はその目的や手段などが異なることから、個々に取り組むべき課題である

江西 照康

学校については、教育長が児童数の減少が看過できないと、教育行政の目線が見れる。都市計画について学校再編に至るほど、子どもの数が少なくなっていることを看過できないと思わないのは大変残念だ。学校再編により地域から学校がなくなることで農振除外が厳しくなるということが考えられるのではないか。

農林水産部長

農地転用が原則許可される第3種農地という農地区分があるが、この第3種農地になるには、500メートル以内に2つ以上の教育施設、医療施設、その他の公共施設が存在することという基準を満たす必要がある。学校がなくなることにより教育施設の要件が外れてしまうため、農地転用の許可基準を満たすことができなくなるというケースは考えられる。

江西 照康

ただでさえ厳しいところに、集落にある小学校がなくなった場合に農振除外ができなくなるというケースを説明いただいたが、この条件を基に住宅に転用している例はあると思う。農業振興の観点から、市街化調整区域の中の学校がなくなってしまうことについて問う。

農林水産部長

学校再編については、教育委員会において、農業振興域地であるか否かを問わず、将来にわたる質の高い教育を維持するため、学校規模の適正化、適正配置について総合的に検討されている。
学校再編がどのように進展していくか分からないが、農業の持続的発展に向けて、農業振興地域を中心とした地域農業の振興に努めたい。

江西 照康

市街化区域に現在どれぐらいの農地があるのか尋ねる。

農林水産部長

本市の市街化区域内の農地面積は、令和4年4月現在、田が約318ha、畑が約39ha、合計約357ha。

江西 照康

市街化調整区域の小学校がなくなると、わざわざ遠くの統合校に通うぐらいだったら、市街化区域に住むことを考える人が出るのではないか。
市街化区域の、高い固定資産税を払いながら農業を続けている、350ヘクタールの農地は大量に供給される住宅用地になる。
50年前に市街化編入した山室、堀川、新庄の小学校は分割され倍になり、それぞれがマンモス校だ。しかし、そのエリアに学校を建てるほどの空き地はない。だが、300ヘクタールの宅地予備軍があるので、市街化調整区域の学校の統廃合をした場合、都市計画そのものが狂ってくるのではないかと心配する。
富山における線引き都市計画は、昭和46年に決めた都市計画だ。フレッシュな藤井市長は線引き都市計画を、廃止も含め検討すべきと考えるが、見解を尋ねる。

藤井市長

実際に線引き制度を廃止された他県の事例を見ると、線引き制度廃止後に旧市街化調整区域の人口が増加し、人口流出に歯止めがかかった効果が見られた。
その一方で、生活環境の悪化等の課題が生じていることも指摘されている。
いずれにしても、線引き制度の廃止は、持続可能な都市経営の観点から慎重な判断が必要であり、一定の開発圧力が存在する現状おいては、線引き制度を維持していくことが適切である。