代表質問・一般質問

令和3年9月定例会

金岡 貴裕かなおか たかひろ

質問日 令和3年9月15日(水)
区分 一般質問
一問一答
  • 総務省通知と一般会計からの富山市 病院事業会計への繰入額について
  • 今後の富山市病院事業の 在り方について

令和3年9月定例会 本会議 一般質問 (金岡議員)

総務省通知と一般会計からの富山市 病院事業会計への繰入額について

金岡 貴裕

病院事業局が果たすべき役割について問う。

病院事業管理者

急速な少子・超高齢社会の進行による疾病構造の変化に伴い医療ニーズも年々多様化し、
市民が地域で安心して暮らし続けるために、必要とされる診療体制はもとより、病態や病状に応じた適切な医療を切れ目なく提供していく地域医療連携体制が重要と考える。

金岡 貴裕

一般的に高度医療や救急、小児、周産期、災害、精神、感染症といった特定の診療科は、採算が取れないと言われている。全ての市民がいつでも安心して医療を受けられるよう、不採算でも市民に必要な医療を病院事業局が担っている。
公的に必要な医療で採算の取れない診療科で発生した赤字について、税金で補完することが地方公営企業法で認められている。繰出基準の考え方として、総務省が地方自治体に毎年通知を出している。基準に沿って繰り出した場合、その一部について地方交付税が充当される。
令和元年度の精神医療に要する経費に対する繰入金額について問う。

病院事業局管理部長

一般会計からの繰入額は9,700万円あまり。

金岡 貴裕

繰入金額の積算根拠について問う。

病院事業局管理部長

通年実績が確定している平成29年度の精神病棟の運営に要した経費の実績額を基としている。精神病棟の運営費は他の診療科ほど年度間での変動が大きくないことから、平成29年度の実績額に市独自の判断による補助率を乗じて得た額を令和元年度の繰入要求額として計上した。

金岡 貴裕

総務省通知による精神医療に要する経費に対する繰り出しの基準に対して、本市が独自の補助率を掛けていることが判明した。総務省通知の精神医療に要する経費に対する繰り出しの基準では、医療法第7条第2項第1号に規定する精神病床の確保に要する経費のうち、これに伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額とある。
事前に頂いた資料では、令和元年度の精神部門における医業収益はおよそ2億2千万円に対し、総費用はおよそ3億7千万円となっている。精神医療の部分で1億5千万円のマイナスとなり、これが総務省の繰出基準となる。実際の繰入金はおよそ1億円であるため、差額およそ5千万円が繰入れされていない。総務省通知で一般会計からの繰り出しを認めている経費のうち、同じように基準額に対して独自に補助率を掛けている項目について問う。

病院事業局管理部長

他市の事例を参考にしながら関係部局とも協議を行い、適切な対応に努めたい。

金岡 貴裕

地方公営企業の独立採算は、あくまで受益者負担の原則になじまない経費について、当該地方公共団体の一般会計または他の特別会計が負担し、これらの経費以外の経費について経営に伴う収入をもって賄うべきである。この区別が曖昧になると事業の本質を見誤る。
総務省の基準どおりに繰り出せば、病院事業局はさらに4億円程度繰入れできた可能性がある。毎年同程度の繰入れが行われていた場合、平成28年度から平成30年度まで黒字化していたことになる。
地方公営企業法の理念に基づき総務省の定める基準額を繰り入れていた場合、病院事業局の経営状況に対する評価が異なっていた可能性があり、現場の医師や看護師が原価意識を持ち、経営改善に向けた努力が成果として現れていたにもかかわらず、不当な評価を受けていた可能性がある。
これから来年度予算要求の準備をされると思うが、病院事業局としては総務省通知の繰出基準に沿った予算要求をするべきではないか。

病院事業局管理部長

自治体病院として真に地域に必要な医療サービスを提供していくため、総務省通知の本旨を踏まえながら実情に合った所要額の見積りに努め、医療ニーズに応えていける予算を
基に、健全な経営に一層取り組みたい。

今後の富山市病院事業の 在り方について

金岡 貴裕

富山市病院事業は中長期計画に取り組んでいる。富山市民病院は、多くの建設設備が既に標準的な寿命を超えており、建設設備等の改修に必要な費用は今後12年間で約40億円が見込まれ、富山まちなか病院においては築55年を経過しており、建て替えを視野に入れた検討が必要である。
本市の財政状況を考えると、市民にとって真に必要な機能や規模に絞り、多くの市民から理解を得られるような新しい市民病院像を打ち出すことが必要と考える。
富山市民病院の老朽化・狭隘化が顕著になっていることから、建て替えの議論を始めることが急務であると考えるが見解を問う。

病院事業管理者

現時点では具体的な計画はないが、今後の施設改修や建て替えに関して、令和元年度に策定した富山市病院事業中長期計画を基に、富山市民病院と富山まちなか病院を個々に考えるのではなく、地域医療構想で示される今後の医療需要の変化なども見据えながら、両病院の機能や医療連携の姿を実現させるための病床再編についての検討も必要と考える。
施設の望ましい在り方や財政面にとどまらず、医療を取り巻く外部環境の変化に大きく左右され得る事柄など、内部で行うべき作業を順を追って取り組んでいく。

金岡 貴裕

藤井市長の市民病院事業に関する見解を問う。

藤井市長

富山市民病院は市の様々な施策の面から見ても大変重要な病院であり、施設の老朽化への対応やハード面の整備に当たっては、急性期医療を担い、専門性の高い外来医療を提供することや、地域医療支援病院、災害拠点病院、感染症指定医療機関であることなど、医療圏の中での立ち位置や担うべき役割をしっかりと果たせるよう全体を俯瞰した上で、県や近隣市町村と時間をかけて丁寧に議論していく。
自治体病院の果たす使命の中には採算性や経営の健全性を保つことができない性質のものも当然ある。これまでも病院事業に対して、国の基準を参考にした財政支援措置を取ってきた。新型コロナウイルス感染症の影響により大きく収支状況が悪化した際には、経営支援を行っており、今後も市の施策全体とのバランスを図りながら、市長にある予算の編成権の中で必要な予算を確保したい。