代表質問・一般質問

令和5年6月定例会

藤田 克樹ふじた かつき

質問日 令和5年6月12日(月)
区分 一般質問
一問一答
  • 中山間地の農業経営について
  • 対話型の人工知能 エージェントについて

令和5年6月定例会 本会議 一般質問 (藤田議員)

中山間地の農業経営について

藤田 克樹

令和5年5月7日から8日にかけての大雨により、市内の被災した農地や農業施設は30か所に上り、その修繕費用1億6,380万円が本定例会の議案となっています。中山間地では人手が不足し、耕作放棄地や管理が行き届かない農地が増えており、大雨によって崩壊する箇所が増加しています。中山間地に新しい担い手を定着させる基盤づくりと、農業に興味を持った人を集め、新たな担い手を受け入れる組織が必要です。富山県は新たに農業を始める若者に対し、年収約250万円の収益モデルを作成しましたが、中山間地の農業経営は難しいとの意見があります。中山間地における農業経営の難しさについて本市の見解を伺います。

農林水産部長

本市の基幹作物である水稲において、中山間地域では標高差などの影響で気温や水温が低く、日照時間が短いため、平均収量が平地より少なく収入面で低い水準となっています。中山間地域の圃場は狭小で農作業効率が悪く、畦畔の傾斜がきついため維持管理コストが高くなります。また、鳥獣による農作物被害が発生し、減収や被害対策に要する労力や経費の負担が農業経営に影響を与えています。一般的に中山間地域での農業経営は平地より難しいと考えています。

藤田 克樹

過疎化や高齢化が進む中山間地での農業経営には、新しい技術や経済性を指導する人が必要です。若者が農業経営の困難を克服するためには、複数の集落や農業関係者が連携し、農地の保全や農業経営を維持する組織づくりが重要です。本市の見解を伺います。

農林水産部長

農業経営の安定化や経営体質の強化を図るため、集落営農の組織化や法人化、農地中間管理機構を通した農地集積に対する支援を行っています。中山間地域では、複数の集落で連携していくことが必要です。八尾地域では、地区全域を1つの活動エリアとして集約し、地域単位での効率的な営農体制に再編された農事組合法人もあります。こうした取り組みを他の地域でも支援していきたいと考えています。

藤田 克樹

中山間地の農家は自家消費が目的であり、利潤の追求は考えていませんが、農産物の高付加価値化や販路開拓による地域農業の振興が必要です。本市の見解を伺います。

農林水産部長

目標地図は地域計画の目標年である10年後における農地の耕作者や地域農業の在り方を地図に示すもので、農業委員会が素案を作成し、市が地域計画として公告縦覧等の手続きを行います。地域の協議の場において、農地所有者、地域農業の担い手、農業委員、農協、土地改良区などの関係者が話し合いを重ね、農業委員会が作成する目標地図素案の精度を高めます。

藤田 克樹

地域によっては10年後の目標地図を策定できないケースも考えられます。地域計画を策定できない地区に対してのペナルティーや不利な影響はありますか?

農林水産部長

国では地域計画と連携する補助事業等を示しており、地域計画が策定されない場合には、事業が採択されない可能性があります。本市では全38地区において地域計画の策定を促し、農業者に不利益が生じないよう努めます。将来の耕作者を特定することが困難な場合は、調整中として位置づけることも可能です。

藤田 克樹

中山間地域では今のうちに別の対策を考える必要があります。構造改革特区の事業の申請に取り組むことについて見解を伺います。

農林水産部長

高収益作物の導入や農作物の付加価値向上、販路の拡大で農業収入の向上を図るため、必要な機械や施設の導入を支援しています。八尾地域の農事組合法人では、果樹栽培や花卉の栽培に取り組み、直売所の開設や販路の拡大を進めています。今後は6次産業化も予定しています。婦中地域では、薬草栽培に取り組み、生産拡大と販路確保を進めています。本市としては引き続き機械導入を支援し、地域農業の振興を図ります。

藤田 克樹

輪島市の千枚田では、都会からコメ作りに興味がある人々を募集し、取れた米で作ったおにぎりを味わう体験をしています。中山間地の農業維持に必要な労働力確保と農地の保全にもつながります。労働力を共有し合うプラットフォームの構築が重要です。本市の見解を伺います。

農林水産部長

平成18年度から農業サポーター制度を設けています。農業に興味のある方に技術講習を受講してもらい、農業サポーター登録し、派遣を希望される市内農家とのマッチングを図っています。しかし、中山間地域の農家からの要望は少なく、大規模産地が中心です。中山間地域での労働力確保には、集落営農の組織化が効果的だと考えます。

藤田 克樹

イモまつりなどのイベントは、農家と協力者との絆を深め、農業経営に取り組みたい若者の意欲を高めるとともに、地域コミュニティーを形成します。中山間地の農地を活用した都市と農村の交流や地域農業の継続に向けた地域コミュニティーづくりが重要です。本市の見解を伺います。

農林水産部長

中山間地域では過疎化や高齢化が進み、営農や集落機能の維持が難しくなっています。農用地の保全や活用だけでなく、住民の生活支援も含めた地域の将来について検討することが必要です。今年度から八尾地域の黒瀬谷地区では、農村型地域運営組織形成推進事業を活用し、農業を核とした地域コミュニティーのビジョンづくりに取り組んでいます。今後、農用地の保全や地域資源の活用、生活支援について協議が行われます。中山間地域の新たな地域コミュニティーのモデルケースとして他の地域への波及も期待しています。

対話型の人工知能 エージェントについて

藤田 克樹

チャットGPTなどの対話型人工知能エージェントの使用について、利用と禁止に分かれるニュースが報道されています。人工知能エージェントは業務の自動化や効率化に寄与しますが、個人情報の漏えいリスクがあります。本市が取り入れる場合には、個人情報を不適切に取り扱わないためのガイドラインや規制が必要です。本市の見解を伺います。

企画管理部長

市が保有する個人情報などの情報資産については、漏えいにより市民の権利利益が侵害される危険性があるため、適切かつ厳重な取扱いが求められます。富山市情報セキュリティポリシーを制定し、個人情報の適切な取扱いを義務付けています。AI技術の進歩に伴い、個人情報保護の観点からもガイドラインを整備することが必要と考えます。

藤田 克樹

対話型人工知能エージェントを利用した契約書のリーガルチェックなど、市民サービスの向上や業務効率化につながる利用が期待されます。前向きなガイドラインを設け、積極的な利用を検討すべきです。本市の見解を伺います。

企画管理部長

チャットGPTなどの生成AIについての業務利用について、各省庁や地方自治体で試験導入が行われています。本市としても、国や他の自治体の動向を注視し、業務の効率化や省力化につながる利用方法やルールづくりについて慎重に検討したいと考えます。

藤田 克樹

マイクロソフト社がプライバシーに重点を置いた対話型人工知能エージェントを提供する可能性を発表しました。導入コストは高いですが、リスクを低減しつつ利用する価値があります。