代表質問・一般質問

令和3年6月定例会

澤田 和秀さわだ かずひで

質問日 令和3年6月18日(金)
区分 一般質問
一問一答
  • コンパクトシティについて
  • 富山市南部の公共交通について

令和3年6月定例会 本会議 一般質問 (澤田議員)

コンパクトシティについて

澤田 和秀

富山市は合併後にコンパクトシティ化へかじを切り、2007年には先陣を切って、国が認定する中心市街地活性化基本計画の第1号に選ばれた。この計画は市街地中心部の開発が目立ち、当時、旧大沢野町民は戸惑いを隠せなかった。
コンパクトシティを打ち出すなら、合併後の市町村がどのようにコンパクトシティに組み込まれていくのかを、当時から旧町村民に周知することが必要だった。その配慮に欠けた結果、旧町村からのコンパクトシティ政策に対する風当たりが強くなった。
また、コンパクトシティの代表的施策が、富山市が全国に先駆けて導入した次世代型路面電車、ライトレールである。
ライトレールだけでは通勤・通学やショッピングに行くことができないことから、若年層及び中年層は自家用車を今も足にしている。
大規模小売店舗立地法の制定以来、地方都市の中心は駅前や中心市街地ではなく、巨大モールへと移行している。オンラインショッピングが便利な時代になったとはいえ、様々な店舗を見ながら歩き、気軽に飲食を楽しみたいのは今も昔も変わらない。その機会は今やモール以外にはほぼない。それゆえ、モールに行くための自家用車が是が非でも必要となる。駅前にもまちなかにも個人的には活気を感じない。
合併された旧町村も自治会や商工会を中心にイベントを開催するなど、地域の活性化のため自助努力を続けている。しかし、市からの補助は年々少なくなり、また、公共施設、設備の老朽化が進んでいるが、更新される計画はごく一部。
大沢野地域も、大沢野武道館が廃止になり、公園の遊具は老朽化が進み撤去となり、どんどんレクリエーション施設や設備がなくなり住みづらい状況に陥っている。
そこで、コンパクトシティは今後どのような構想で富山駅周辺及び総曲輪周辺とライトレール及び市内電車沿線でない市街地や旧町村をつなぎ、住民の満足度をどのように向上させていくのか。

活力都市創造部長

地域生活拠点や駅やバス停の徒歩圏においても公共交通を利用することで、必ずしも車に頼らなくても、日常生活に必要なサービスのみならず百貨店や教育文化施設などの広域的なサービスについても享受できる、歩いて暮らせるまちづくりを実現し、地域住民の満足度の向上につなげてまいりたい。

澤田 和秀

平成27年と令和2年の人口を比較すると、ライトレール及び市内電車沿線で人口が増えているのは堀川地区のみで、他は軒並み人口減少している。逆に人口が増えているのは、進学校周辺の愛宕地区、町全体がショッピングモール化している新庄地区、新庄北地区、藤ノ木地区で、旧町村ではショッピングセンター付近の大久保地区、鵜坂地区、速星地区、婦中熊野地区。
コンパクトシティ政策でライトレール及び市内電車が人口増加に貢献しているとは考え難い。
市内電車の南側の終着駅である南富山駅以南は、公共交通機関が乏しい。
特に、大沢野地域は、南富山駅から市内電車にアクセスするためには時間がかかり、1時間に1便しかないバスのみ。また、富山駅へのアクセスも、時間のかかるJR高山本線と、通勤・通学時間帯の渋滞で時間の読めないバスしかない。
このような状況では、南北が貫通しても、この先、コンパクトシティ政策が富山市南部における公共交通機関の展開をどのように考えているのか、疑問に思う。この状態を改善する計画があるのか。

活力都市創造部長

本市では、これまで、富山港線のLRT化や市内電車の環状線化を実施してきた。さらに、昨年3月には路面電車南北接続事業が完成し、全長約15キロメートルに及ぶLRTネットワークが形成された。
 このことは、路面電車の利便性が向上しただけではなく、富山駅の交通結節機能が強化され、富山駅に結節する鉄道やバスなど公共交通全体の利便性が向上し、地域生活拠点へのアクセスの強化にもつながった。
このように、旧町村の核である地域生活拠点と都心部をつなぐ公共交通を活性化させることで、通勤・通学の足の確保はもとより、車に頼らなくても広域的なサービスも享受できることで、地域生活拠点における人口集積が進み、日常生活に必要な商業、医療、福祉、行政サービスなど、生活サービスの維持につながる。
富山市南部、大沢野地域の公共交通の状況は、バス路線では、富山駅と笹津バス停を結ぶ笹津線が平日で往復85本、富山駅と笹津春日温泉バス停を結ぶ笹津春日温泉線が平日で往復18本運行されており、さらに鉄道では、JR高山本線が笹津駅を経由し富山駅・猪谷駅間を平日で往復19本運行されている。また大沢野地域内は、65歳以上の高齢者に限定されるが、デマンド型のシルバータクシーを運行し生活交通を確保しており、大沢野地域は他の地域と比較しても公共交通機関が乏しい状態でないと考える。

澤田 和秀

南富山駅は、コンパクトシティ政策の鍵となる。富山市南部からのアクセス拠点とし、市内電車と上滝線の有効活用を図り、南富山駅に大規模なパーク・アンド・ライド駐車場を整備し、利便性を高める取組が必要と考える。これを整備することにより、中心市街地の渋滞を解消できる。
このパーク・アンド・ライド駐車場は、交通系ICカードと紐づけし、一般有料駐車場併設にすることで収益を上げることも可能。全国にも数か所の先進実績がある。これにより、南富山駅周辺の大規模開発につなげ、南富山駅をモール化できれば周辺人口増加につながる。
南富山駅周辺の大規模開発の可能性と、パーク・アンド・ライド駐車場の大規模整備に対する市の考え方を問う。

活力都市創造部長

パーク・アンド・ライド駐車場の設置は、公共交通の利用圏域の拡大や交通渋滞の緩和、ひいては環境負荷の低減などに有効な手段であると考え、これまでJR高山本線沿線で4か所116台、富山地方鉄道不二越・上滝線沿線で5か所53台、富山港線沿線で1か所37台を交通事業者と連携し整備した。
南富山駅は富山地方鉄道不二越・上滝線と市内電車の交通結節点であり、その周辺地区は富山市都市マスタープランにおいて地域生活拠点の1つに位置づけられていることから、駅周辺でのパーク・アンド・ライド駐車場の整備や大規模開発により地域の拠点性や公共交通の利便性の向上につながると認識しているが、南富山駅周辺は既成の市街地であり、多くの課題がある。

澤田 和秀

婦中、八尾、大沢野、細入地域はJR高山本線でつながっている。大山地域は上滝線で旧市内とつながっている。しかし、大山、大沢野地域はつながっていない。山田地域をどのようにつなげていくのか。

活力都市創造部長

民間交通事業者による交通サービスが提供されない旧町村の公共交通空白地域では、生活交通の確保が重要な取組と位置づけ、市直営でコミュニティバスやデマンド型のシルバータクシーを運行している。
大沢野地域では、65歳以上の高齢者に限定されるが、デマンド型のシルバータクシーを利用し、運行頻度の高いバス路線の笹津線バス停で乗り継ぐことで都心部へのアクセスが可能。
なお、市営コミュニティバスのルートを変更し、大山地域から大沢野地域、さらには山田地域をつなぐ場合には、バスやタクシー事業者、地方運輸局、警察などで構成する富山市交通空白輸送地域公共交通会議においてあらかじめ全ての委員に同意を得る必要があり、タクシー事業者の営業エリアへの影響などを考えると、関係者全員の同意を得ることは容易ではないと考える。