令和4年3月定例会 本会議 一般質問 (澤田議員)
コンパクトシティと スマートシティについて
澤田 和秀
令和2年度富山市民意識調査結果報告書によると、調査の中で不満の第1位が「交通体系の整備」で44.7%、第2位が「歩いて暮らせるまちづくりの推進」で36.7%に上る。この結果は、市民の皆さんの公共交通を中心としたまちづくりへの期待の大きさとも捉える。
現在、富山市では、地域で自主的に運行しているバス、市直営のバス、市委託のバスと、様々な形態でコミュニティバス等が運行されている。中心市街地と旧町村では住環境が大きく異なる。それぞれどのような目的で運行されているのか。
活力都市創造部長
本市では、採算性などの理由から民間交通事業者による交通サービスが提供されない公共交通空白地域においては、車を自由に使えない高齢者などの市民生活の足となる移動手段の確保を目的として、人口や施設の集積が少ない中山間地域の大山地域、八尾地域、山田地域において市が直営で市営コミュニティバスを運行している。
また、婦中地域においては、生活の足の確保を目的として、婦中コミュニティバス運営委員会が地域自主運行バスを運行している。
また、中心市街地においては、中心市街地の活性化や回遊性の向上、富山駅へのアクセス向上を目的として、株式会社富山市民プラザが中心市街地を巡回するまいどはやバスを運行している。
澤田 和秀
中心市街地と旧町村では運行目的が違う。それぞれ中長期計画と数値目標を立てて進めていってもらいたい。
中心市街地で運行されているコミュニティバス、まいどはやバスは、他のコミュニティバスと比較して令和2年の補助金額が大きい。今後も引き続き同様の支援を続けるのか。
商工労働部長
本市は、富山市地域自主運行バス事業補助金交付要綱に基づき、まいどはやバスを運行する富山市民プラザに対し、車両の維持管理や1時間当たり1便を超えて運行する高頻度運行に係る経費の全額、それ以外の運行に係る経費の一部を補助金として交付しており、令和2年度の補助金の交付額は4千8百万円余りとなっている。まいどはやバスは、平日に加え、土曜日、日曜日、祝日にバス車両を4台使用し、1時間に2便以上の高頻度で運行していることから、他地区で運行する地域自主運行バスに比べると運行に係る経費が大きいため補助金が多額となっているもので、運行経費に対する市の補助金の割合は71%、呉羽いきいきバスは58%、水橋ふれあいコミュニティバスは78%、堀川南地域コミュニティバスは71%、婦中コミュニティバスの96%と比較して、決して高い割合ではない。
まいどはやバスが令和2年度に約14万人と多くの方に利用されており、中心市街地の活性化や回遊性の向上などに資するものであることから、引き続き富山市民プラザのまいどはやバスの運行に対して支援をしていきたい。
澤田 和秀
昨年6月議会で、私の質問に対して当局から、大沢野地域は他の旧町村と比較して公共交通が劣っているとは思えないという趣旨の答弁があった。現在、大沢野地域には、国道41号線を往復する地鉄バスとJR高山本線しかない。船峅地区、小羽地区、岩木地区など、国道41号線から遠く離れた地域では、国道41号線のスーパーや飲食店、行政サービスセンター並びにJR笹津駅へは公共交通を使っていくことができない。
大沢野地域では、高齢者を対象としたシルバータクシーが運行されているが、他の地域同様、高齢者以外の住民も利用できるようコミュニティバスを運行するべきと考えるが、市の見解を問う。
活力都市創造部長
大沢野シルバータクシーは、大沢野地域の高齢者の生活の足の確保や公共交通空白地域の解消を目的に、大沢野が地域に居住する65歳以上の高齢者を対象に、大沢野地域内で月曜日から土曜日まで事前申込みによる乗合型のデマンドタクシーを運行するもの。
大沢野シルバータクシー事業は、平成17年の市町村合併に際して、旧大沢野町の事業を引き継いだものであり、この事業を実施する前の平成14年度に旧大沢野町ではコミュニティバスの試行運行を2か月間行っていたが、利用者が少なく、継続的に運行することは難しいと判断し、本格運行に至らなかった。
また、コミュニティバスの試行運行では利用者の多くが高齢者であったので、高齢者の生活の足を確保するため、乗合タクシーへの変更を検討した結果、高齢者のみを対象としたシルバータクシーとすることでタクシー事業者やバス事業者から理解が得られ、運行に至った。
澤田 和秀
合併前のコミュニティバスの運行計画は私も知っている。実際問題、私が以前経営をしていた福祉施設の前も経路として挙がっていた。ただ、あのときの計画は、高齢者を対象に考えられていた。その当時は病院や施設等を巡回する施設独自のバスが多く走っており、そのため高齢者の利用者が少なかった。今とは全然状況が違う。
今、コミュニティバスは大沢野地域については自主運行と言われたが、市営のものをしっかりとやっていただきたい。
まいどはやバスをはじめ、赤字を大きく抱えるバスも運行しているので、コスト面だけではなく、生活に必要な移動手段として大沢野地域、細入地域にも早急にコミュニティバスを運行することを切に願う。これは地域住民の願いで、報告書の数字にも現れている。
大沢野地域、細入地域で運行されているシルバータクシーは、大沢野地域のみならず、富山市内の遠隔地及び中山間地の全てで利用できるよう運行してはどうか。
商工労働部長
シルバータクシーや市営コミュニティバス、地域自主運行バスを新たに運行する場合は、交通事業者や住民代表を加えた富山市交通空白輸送地域公共交通会議においてあらかじめ全ての委員の同意を得る必要がある。富山市内の中山間地域全てにおいてシルバータクシーを利用可能にすることは、市全域を営業区域とする既存のタクシー事業者やバス事業者の営業に影響を及ぼす可能性があり、こうした交通事業者の同意を得ることは容易なものではない。
人口減少の本格化や少子・高齢化が進行する社会では、地域ごとの特性に合った市民生活の足を確保することが重要であり、本市では、令和4年度にコミュニティバスの利用状況の検証を行い、将来を見据えたコミュニティバスの在り方を検討し、中山間地域での新たな移動手段の導入についても検討したい。