代表質問・一般質問

令和3年6月定例会

泉 英之いずみ ひでゆき

質問日 令和3年6月16日(水)
区分 一般質問
一問一答
  • 小・中学校統合に伴う跡地活用と科学文化部(仮称)の創設について
  • バイオマス発電所建設の可能性について
  • 過疎債、辺地債の積極活用について

令和3年6月定例会 本会議 一般質問 (泉議員)

過疎債の活用促進について

泉 英之

平成30年3月定例会の話になりますが、今となれば10年ほど前のデータではありますが、過疎対策事業債の都道府県別活用率のランキングで、限度額の上限額まで充当しましたお隣の石川県が101.9%でありました。全国1位です。富山県は限度額から22.1%で、下から3番目の43位でした。
さらに、富山市は、富山県全体の7%ほど、要は、43位の中でもその7%ほどの活用率であったことから、もっとこれらの地方債を活用すべきとの思いで質問しましたが、当時の森市長からは「財源があるから何かせんまいかという時代はもう終わったのですよ」との答弁がありました。結局、この言葉のとおり、過疎債の活用率は低水準を維持したままで現在に至っています。
中心部の市税増加のおこぼれを中山間地に向けているといった趣旨の発言が聞かれますが、この表現はCO2削減に寄与している森林があるからこそ水が育ち、その水で80万キロワットにも及ぶ水力発電所群から電気を受け、旧富山市の95%以上の世帯が飲料に供し、さらに、3,000ヘクタールにも及ぶ田畑を潤すことにより食を賄い、これらの礎の上に経済活動が成り立っているという認識がすっぱり抜けているように感じます。
この「とやまの水」も、10年連続モンドセレクション金賞ということで、殿堂入りということを聞きました。これも流杉から流れてくる、要は有峰ダムの水なのですが、その地方から流れている水が今の富山市を潤しているということを私のほうから中山間地の議員として皆さんにPRしておきたいと思います。
ですから、単純な数値や目に映る資金損失を唱える表面的な評価には、残念としか言いようがありません。例えば、1,000人の居住区の利用率が1%なら10人です。100%の利用率でも、10人の集落ならしょせん同数になります。これをどちら側に傾けるのかによって心の豊かさが決まると思っています。
独居老人や買物難民の改善、移動手段の多様化や都会からの移住促進など、あらゆる課題にほぼ万能に対応でき、かつ7割の交付税措置率を持つこの過疎債が、残すところ6年で使えなくなってしまいました。
対応エリアである細入地域、山田地域の住民要望にさらに耳を傾け、過疎債の活用を促進すべきと考えますが、見解を伺います。

企画管理部長

平成12年に制定されました過疎地域自立促進特別措置法は、本年3月末日をもって失効し、過疎対策の新たな法律として、今通常国会で全会一致の議員立法として制定された過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法が、この4月1日から施行された。
旧過疎法により過疎地域に指定されていた旧山田村と旧細入村を含む7つの市町村の合併により誕生した富山市は、合併前の山田村と細入村の区域のみを過疎地域とみなす、いわゆる一部過疎に指定されていたが、このたび施行された新過疎法では過疎地域の要件を満たさなくなったため、富山市は過疎団体から外れることとなったが、経過措置として、今年度から6年間に限り過疎債の発行が認められる。
本市では、これまでも様々な事業の実施に当たり、過疎地域に限らず、その必要性等について十分検討し、長期的視点に立って、真に必要な事業に対しては過疎債等の有利な財源を有効活用してきた。引き続きこれまでと同様、こうした基本的な考え方に基づき対応する。

中山間地における インフラ整備について

泉 英之

瓶岩橋に関して、当時の大山町が昭和47年につり橋の池乃口橋を架け替えたもので、アルカリ骨材反応や支承の故障など、経年劣化により6年前に通行止めとなり、今は10キロメートルもの間、橋のない状態がそのまま放置されています。
架け替え費用は、取壊しの1億円を含めて約10億円が想定されており、橋梁補修債の55%を適用の上、80%の交付税措置のある辺地債を活用することで、富山市単体の負担額は9千万円ほどで済むものとなります。しかし、廃橋の場合は一切の補助金が使えなくなり、なくすためだけに1億円が拠出されることになる。
将来のメンテナンス費用負担に関しましては、大山地域自治振興会連合会が富山県に対し、県道と県道を結ぶ橋であり、立山黒部アルペンルートの重要橋として県に移管されたいという旨の要望書の提出も既に終えていることを報告します。
通行止めから5年経過した昨年9月24日に、橋周辺の通行量調査も実施されないまま、廃橋を前提とした地元説明会が開催されました。報道各局が見守る中、我々自民党の建設委員も傍聴されてましたが、参加者から「大山地域自治振興会連合会の架け替え要望は旧大山町住民の総意であることをどのように捉えているのか」と質問がありましたが、当局側からは「旧大山町の総意であっても富山市の総意ではない」との答弁が返ってまいりました。さらに、「森市長が退任表明をされているが、この後、新市長になられて、どのような変更があるのか」との質問もありましたが、当局側は「新しい市長になっても方針は変わらないと思う」とも答えています。
辺地債の活用により資金負担が軽減され、防災、観光促進、住民要望のどれを取っても積み上げられたロジックに一点の曇りもなく、当局側の答弁にある真に必要な事業にまさしく合致するものと思われます。そもそも辺地債の目的は、当該辺地地域とその他の地域との生活水準の著しい格差の是正を図ると明記されております。10キロメートルもの間、橋のない状態は、例えば岩瀬浜から市役所まで橋が一つもないことと同じになります。このような著しい格差を早期に解消してこそ、広域ある富山市の発展が達成されるものと信じています。
そこで、中山間地域の中でも、特に辺地エリアにおける住民総意のインフラ再建要望に対してどのようなお考えをお持ちになるのか、市長に見解を求めます。

藤井市長

本市では、これまでも富山市公共施設等総合管理計画や、道路、公園などの個別施設計画に基づいて、限られた財源の中で、将来にわたって適切なインフラマネジメントの実現を目指して、膨大なインフラストックの増加抑制に努めるとともに、真に必要なものについては整備や維持管理に努めた。
とりわけ、既存インフラの老朽化対策は、行財政運営が一層厳しくなる中、全てのインフラを現状のまま維持し続けることは困難との認識に立ち、老朽化が進めば順次修繕や更新を行うといったこれまでの維持管理の考え方からの転換を図り、選択と集中による、めりはりのある維持管理を行ってきた。
私としましても、この森前市政における方針を継承したいというのが前提ですが、都市経営の視点に立って、各施設の必要性を見極めた上で、優先順位を判断しながら老朽化対策を推進したい。中山間地域や辺地エリアに限らず、社会経済活動を維持・向上するために欠くことのできない施設につきましては、優先的に修繕や更新を実施してまいりたい。
一方、安全な利用が確保できない場合には、使用制限や通行止めを実施するほか、撤去・廃止など、市民にとって痛みを伴う厳しい判断を下さざるを得ないということも想定される。その決断を行うことは、まさに市長の責務であろうと考えている。