令和4年12月定例会 本会議 一般質問(江西議員)
富山市公設地方卸売市場の 再編事業について
江西 照康
産地から市場を経由せずに直接小売業者や飲食業者に流通させればよい、だから卸売市場は不要だというふうな意見を耳にすることもある。
実際に、市場流通はその取扱高が以前に比べ大きく減っている。そんな中、本市では、令和2年に136億円の債務負担行為を行い市場再編整備事業に着手した。本市が市場を開設する意義について問う。
農林水産部長
富山市公設地方卸売市場は、市民の生活に欠くことのできない生鮮食料品の流通や取引を円滑に図る機能として全国から旬のものを集め、消費者に供給して、市民生活の安定と向上を図るとともに、県内東部における拠点市場として地域における生鮮食料品の流通の中核を担っている。
また、市場に農産物を持込み、生計を立てている生産者の継続的で安定的な販売ルートを確保する重要な役割も果たしている。
さらに、本市場では年間200億円を超える取引を行っており、その取引を通じて市場勤務者や小売業者など、多くの就業につながり、地域経済に大きな効果を生み出しており、今後も本市場を維持していく必要がある。
江西 照康
小さな生産者、小売店、飲食店にとっては、市場は欠かすことができない。しかし、この市場再編、やけに補正が続くと感じている。
市場再編事業に係る当初経費として令和2年9月定例会に債務負担行為の設定を行ったが、その後、当該事業として増加したと思われる費用について問う。
農林水産部長
本市では、令和2年9月定例会に、市場再整備事業に係る債務負担行為額として、市が30年にわたって支払う市場施設の賃借料総額となる136億円余りの限度額の設定を行った。その後、令和3年12月定例会に、既存施設の解体工事前の調査により判明したアスベストの除去費9億9千万円余りを債務負担行為額に追加計上した。
また、当初予定していた駐車場の有料化を市場内事業者の負担軽減を図る観点から無料化したことに伴い、市の収入となる地代が約10億円減少するため、市の実質的な負担額が増加している。
加えて、建築資材価格の高騰や地中埋設物の処分に係る賃借料の増額分約4億円、また、高濃度PCB廃棄物の処理費の800万円についても事業費の増加分として見込んでいる。
江西 照康
アスベストの除去費の補正は、要求水準書に、アスベストが出た場合は、必要な追加費用を協議の上、本市が負担すると決めているが、もう少しいい取決めができなかったのかと思う。
ほかにも事前に取り決めてきた内容に従って補正が組まれてきている。本市の主導ではなく、事業者が申告し、それに対して支払うと決まっていた。これだけ大きな金額を追加するのであれば、議会も未定金額があると分かっている必要があった。
さらに、このスキーム自体が国の財政援助を受けられないいわく付きのスキームである。
また、PPPとして市場運営の中核をなす企業が、市場外流通で成長してきた上場企業の関連会社化しているが、市に前もって通知をすることも決められていない。
今回、物価高騰に対して支払う根拠は募集要項に書いてある。この募集要項には、工事着工時点とあるが、どの時点かは不明瞭である。現在、青果棟と関連店舗・事務所棟の建設には既にかかっているが、今後、水産棟の建築が始まるときにも物価高騰対策の補正が組まれる、そのような認識なのか。
農林水産部長
市場再整備事業はPPP手法を活用しており、事業期間が長期にわたることから、募集要項や要求水準書等において市と整備事業者の間で様々なリスク分担について定めている。
この中で、本定例会に補正予算案として提出している建築資材費の価格の高騰分や地中埋設物の撤去費用、高濃度PCB廃棄物の処分費用も、本市が負担すると規定している。
このうち建築資材価格の高騰と地中埋設物の撤去は、来年1月末に竣工する青果棟と関連店舗・事務所棟の建設に係る費用であり、同年6月に着工予定の水産棟の建設や今後行う既存施設の解体も、今回と同様の事態が発生した場合には費用が必要になる。
江西 照康
最近は会社の合併もあり、会社が事業を替えることもある。
今回のPPPの中核でこの市場に関わっている企業が市場外流通の会社の関連会社化しており、会社の将来も分かりにくい。こういった長期の契約は、契約先も自分たちが損をしないように、リーガルチェックだとか、デューデリジェンスチェックにより、念入りな契約条項を求めてくる。
今後、PPP手法により事業を行うことについて見直すべき時期に来たのではないかと考えるが、見解を求める。
企画管理部長
いわゆるPPP、公民連携手法は、これまでも一定規模以上の公共施設の整備及び運営において、民間委託や民営化、指定管理者制度の導入なども含め、行政の様々な分野で公民連携手法を積極的に導入してきた。
このうち公共施設の整備等に当たっては、国の要請を踏まえて策定した富山市PPP/PFI手法導入優先的検討規程に基づき、整備費が10億円以上となる大型事業等について、自ら整備等を行う従来型の方式の整備手法に優先して公民連携手法を検討することとしている。そして、その検討の結果、導入が適切であると判断した場合、初めて実際に導入することになる。
この検討に当たっては、市では、金融や不動産などが専門の有識者で構成する富山市PPP事業手法検討委員会を条例に基づく市長の附属機関として設置し、公共施設整備事業におけるPPPの導入及び手法に関して御審議いただくことで外部有識者の視点からPPP事業の専門性や客観性を確保しており、この委員会の意見を踏まえ、市は、PPP手法の導入の適否の判断や多様なPPP手法の中から最も適切と思われる事業手法の選択を行っている。
引き続きこの検討委員会からの意見などを伺いながら、公民連携手法の適切な導入に努めてまいりたい
江西 照康
他
・相続土地国庫帰属制度についてに質問
・アスベスト対策についてに質問