代表質問・一般質問

令和4年6月定例会

押田 大祐おしだ だいすけ

質問日 令和4年6月15日(水)
区分 一般質問
一問一答
  • 市の空き家対策について

令和4年6月定例会 本会議 一般質問 (押田議員)

市の空き家対策について

押田 大祐

人口減少や既存の住宅・建築物の老朽化等に伴い、空き家が全国的に増加しており、今後も増加が続くと懸念されていることや、空き家の中には利活用の方向性が定まっていないものも多く、安全性の低下、公衆衛生の悪化、景観の阻害など多岐にわたる弊害を生じさせ、ひいては地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものもあり、全国的にも問題である。
富山市空き家実態把握調査では、5年前の平成27年度の調査では5,736件の空き家を把握していたが、令和2年度の調査により、空き家の件数は7,049件となり、前回調査から1,313件も増加している。
空き家情報バンクは、地域の空き家の情報を広く知らしめ、空き家の流通促進に効果があると考えているが、富山市空き家情報バンクのホームページを確認したところ、R4年6月9日現在、残念ながら12件の掲載にとどまっていた。
7,000件を超える富山市の空き家の総数を考えると、富山市空き家情報バンクの掲載が少ないかと考えるが、市の見解を伺う。

活力都市創造部長

富山市空き家情報バンクへの掲載数が少ないという指摘は、これまで「広報とやま」やパンフレットの配布により周知に努めたが、制度の周知が十分ではないことに加え、本市には不動産事業者が多数存在し、優良な空き家などの中古物件は、直接不動産事業者と取引されていることが要因だと推察している。
どこに相談すればよいか分からずそのままにしている方が一定程度おられることも確認されており、空き家情報バンクの必要性は高いものの、まだ十分に活用されていない。
申込み手続の簡素化や、物件の魅力がより分かりやすいものになるよう説明文や写真など掲載情報の工夫など、他都市の事例を参考に、多くの方に利用していただけるよう取り組んでまいりたい。

押田 大祐

次に、富山市の地域特性に応じた空き家の利活用を促進するものとして、まちなかや公共交通居住推進地区などの公共交通が便利な地域における住宅の取得やリフォームに関する費用の補助を行う住宅取得支援事業やリフォーム補助事業を実施している。
戸建て住宅に対する住宅取得支援事業について、住宅取得補助の申請を行う場合には幾つかの要件を満たす必要があり、その中に敷地の緑化がある。
戸建て住宅の補助を受ける場合、まちなかでは敷地面積の5%以上、公共交通沿線では敷地面積の10%以上の緑化面積を確保が条件だ。
中古住宅の場合はこの緑化基準を満たすことが難しい場合があり、住宅取得支援事業の実績が伸びない要因の1つではないかと考える。
こうしたことから、中古住宅取得に対する補助実績は、まちなかで5件、公共交通沿線で10件の、合わせて15件のみとなっている。住宅取得支援、特に空き家の流通支援策としては何とも寂しい限りだ。
まちなかや公共交通沿線の住宅取得支援事業を活用し、空き家対策の推進を図るべきだと考えるが、見解を伺う。

活力都市創造部長

この事業は住宅を取得した方に対し最大50万円を補助するもので、中古住宅も補助対象としている。
実績が15件にとどまっており、これは中古住宅が住宅取得支援事業の補助対象であることが十分周知されていないことや、中古住宅は新築住宅に比べ敷地が限られている場合が多く、敷地の緑化面積の確保が困難なことが、実績が少ない要因と考えられる。
一方で、市民アンケートでは、今後住宅を取得する場合に中古住宅も選択肢にあると回答した方は43.5%で、一定程度のニーズがあることを確認している。
中古住宅を取得した際に、住宅取得支援事業とともに耐震改修工事やリフォーム工事の補助制度も併せて活用が可能であることも周知に努め、中古住宅の流通を促進し、ひいては空き家対策の推進を図りたい。

押田 大祐

空き家の所有者は県外など遠方に居住している場合もある。遠方の場合、管理が行き届かず、放置空き家となる可能性が高くなる。
空き家は、長期間放置の状態が続くと、老朽化が急速に進み家屋の価値も低下し、売却や賃貸等での活用が難しくなる。さらに、家屋の劣化にて危険な状態となるほか、景観や衛生状態の悪化、周辺地域に悪影響、いわゆる外部不経済を起こすこともある。そこで、遠方に居住している市内の空き家所有者が売却を希望する場合には、市はどのような対応をしているのか。

活力都市創造部長

遠方に居住されている空き家の売却希望の方に対しては、富山市空き家情報バンクの制度の案内や、売却についての具体的な流れや手続などの相談には、富山市空き家対策官民連絡会議で連携している不動産関係団体などを紹介し、不動産売買など空き家に関する相談窓口の連絡先や空き家の管理のポイントや活用方法などを記載したパンフレットを送付して、売却が進むよう情報提供に努めている。
空き家の利活用や流通を促進することは空き家問題の予防や解決につながるので、空き家所有者などの相談に対応していきたい。

押田 大祐

富山市では、児童数の減少から、富山市の小・中学校の統合問題が浮き上がっている。
教育委員会の各説明会では地域に学校の存続を求める声が大半であり、学校が地域のシンボルで、そのシンボルをなくすとさらなる地域の衰退につながるという声も聞こえている。
当然、学校がなくなった地域から人口流出が進み、子育て世代の減少と同時に高齢化率の上昇、さらに地域の過疎化が懸念されるからだ。
水橋は地域内にある7つの小・中学校を統合し、義務教育学校の新設を要望した地域でも不安がる声も出ている。このままでは、小・中学校の統合により、市の空き家問題はさらなる難関ステージを迎えることになるのではないかと危惧している。
学校再編による統廃合は、教育的見地に基づくことも重要だが、地域コミュニティーの維持という別の視点も持っていないといけない。
学校統合と空き家問題との関係性、そして空き家対策全般について、藤井市長の見解を伺う。

藤井市長

学校統合と空き家問題との関係性については、空き家の問題は主に人口減少、少子・超高齢社会の到来や首都圏への一極集中による世帯数の減少や社会的背景が空き家の増加要因であると考えている。
一方、学校統合などの学校再編は、子どもたちの教育環境を整えることを目的に検討を進めているもので、学校統合を含む学校再編と空き家の問題は個別に取り組むべき課題であると捉えている。
人口減少の進行などにより空き家は増加の傾向にあり、空き家が適切に維持管理されないことで、倒壊の危険や周囲の景観及び住環境への悪影響、治安の悪化など、市民生活にとって重大な支障となるおそれがあるので、空き家問題は本市の重要課題の1つであると考えている。
空き家は個人の財産であり、第一義的には所有者自らが常に適切な管理を行うべきものと考えている。
一方で、空き家に関する問題はまちづくりの観点から地域の抱える問題の1つと捉えており、本市としては、事業者や法務関係者、町内会など地域の多様な主体と連携を図りながら、空き家に起因する問題の発生の予防や解決、利活用の促進に努めていくことも必要であると考える。
このことから本市としては、空き家に関する実態把握や空き家化の予防、適正な維持管理や利活用の促進などの空き家対策を実施してきたところであり、引き続き空き家対策を推進することで、良好な住環境の保全に努めたいと考えている。