令和3年9月定例会 本会議 一般質問(藤田議員)
富山市病院事業経営計画について
藤田 克樹
新型コロナウイルスとの闘いが始まってから1年半以上が経過しました。
第4波、第5波と感染が拡大し、第5波が収束に向かっている今、医療従事者の皆さんの心労や疲労はピークに達していると思います。その自己犠牲と献身的な働きに心から感謝と賛辞を申し上げます。
富山市病院事業における経営計画についてお伺いします。
第4波、第5波における新型コロナウイルス感染者の受け入れ人数について伺います。
病院事業局管理部長
県内における新型コロナウイルス感染症患者の動向については、本年3月下旬から感染者の増加が続いており、4月から5月、また7月中旬から8月下旬にかけて大きな波がありました。
富山市民病院での受け入れ人数は、4月から6月までが136人、7月から9月14日までが156人です。
藤田 克樹
富山市民病院は多くの患者を受け入れ、医療崩壊を 食い止める防波堤となっています。
その自己犠牲と献身 的な働きに再度感謝申し上げます。
コロナ禍は突発的 なもので、過去の病院事業計画においても想定されて いなかったと思います。富山市民病院の対応状況を 検証し、その存在意義と安定した経営について再考する 必要があると思います。厚生労働省より公立・公的病院の 再編統合の再検証が通知されており、急性期医療診療 実績が少ない病院について機能分化やダウンサイジング を含めた統合を検討するよう求められています。
現在、 精神病床などを除き、日本の病院には約120万床あり、 世界でもトップクラスですが、8割を民間病院が占めて います。民間病院では院内感染防止対策が取れないため、 新型コロナウイルス感染症対応病床の確保が困難です。 公立・公的病院はコロナ病床を用意し、感染症患者の 受け入れの中核を担っています。自治体と連携し財政 支援を受けやすい点がプラスに作用しています。
新型 コロナウイルス感染症対策において公立病院の役割は 非常に大きいと考えますが、富山市民病院が地域医療 に果たしている役割を見直すべきタイミングだと思います。
公立病院は多くの診療部門を抱え、不採算部門のリスクも抱えています。総務省では一般会計から繰出基準を定め、経営を補完する措置を講じています。
令和3年度当初予算で、一般会計から繰り出しされていない経費があれば、その内容と理由について伺います。
病院事業局管理部長
地方公営企業においては、企業性の発揮と公共の福祉の増進を図ることが求められ、経営に要する経費は経営に伴う収入で賄う独立採算制が原則です。
しかし、一般行政事務と考えられる業務も行う必要があり、地方公営企業法で一般会計が負担する経費が規定されています。
総務省から毎年4月に繰出基準が通知されますが、地域の実情や地方公営企業の実態に応じて異なります。令和3年度当初予算では、僻地医療の確保や不採算地区の病院運営経費などは計上していません。繰出基準の対象となっているが病院事業予算に計上していない経費は、医師の派遣に要する経費、保健衛生行政事務に要する経費、周産期医療に要する経費、小児医療に要する経費です。市独自の補助率を設定している経費としては、院内保育所の運営、医師の勤務環境の改善、精神医療、リハビリテーション医療、高度医療に要する経費があります。
藤田 克樹
一般会計から繰出基準を定めている診療のうち、周産期医療と小児医療の経費について伺います。周産期医療では、出生数の減少と共に医師や施設の数が減少し、診療所と周産期センターへの二極化が進んでいます。
ハイリスク妊婦の増加や施設へのアクセスが困難になり、受診困難者が増加する懸念があります。増加するハイリスク妊婦への対応と医療過疎地域への安定した周産期医療の供給が必要です。小児医療では、広範囲の疾患領域を少ない人員で対応しなければならず、非常に忙しく難しい職場です。小児科医は次代の日本を背負う子どもたちを健全な成人に育てる使命があります。診療報酬体系の中で小児科の収益性が低く、小児科医の数と病床が減っています。遠隔医療システムに要する経費についても、少子・高齢化社会において重要な位置づけとなります。
遠隔地への医療供給方法としてICTの活用や在宅医療の導入が必要です。
富山市民病院の存在意義と安定した経営に向けて、一般会計繰入れを行っていない経費について積極的な経営計画を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
病院事業局管理部長
ここ数年の病院事業予算における一般会計からの繰入額は平均で年間約11億4,000万円です。
近年の病院事業の収益的収支は平成28年度以降赤字経営が続いており、本来の医業収益の増加や経費の削減など、事業経営の本質的な部分の改善が求められます。
病院事業局としては、独立採算制の原則に立脚し、一般会計からの繰入れに頼るのではなく、自助努力により収支の健全化に取り組む必要があります。中長期計画に掲げる収支改善や経営改善に向けた取り組みに強い決意で臨む必要があります。
一般会計からの繰入れが必要な経費については、十分な精査と財政当局との協議を経て、所要額を予算に計上します。
藤田 克樹
富山市の病院事業経営改善計画の点検とその健全性を診断しながら、選択と集中による戦略的で安定し積極的な経営計画を推進していただきたい。
地域医療のリーダー的病院となり、地域から最も信頼される病院、地域医療の質を向上する病院、地域医療ネットワークの構築の中心的役割を担う病院へと邁進していただきたい。
本市は平成20年の入学生より中学校において学校選択制を採用しています。令和3年度における小規模校、大規模校における区域外入学者数の現状について伺います。
病院事業局管理部長
令和3年度の市内中学校において、11学級以下の小規模校は15校あり、学校選択制による区域外からの入学者数は98名です。19学級以上の大規模校は2校あり、区域外からの入学者数は28名です。
藤田 克樹
区域外入学者の抽選状況ですが、校舎の立地条件、通学のしやすさや中学校における教育の取り組みによって選ばれる学校があると思います。特色ある教育の取り組みが少ない中学校や通学に不便な学校に関しては選択されにくいです。
平成17年6月定例会で、当時の教育長が学校選択制による導入効果として学校規模が適正となることを挙げていましたが、現状では効果が発揮されていません。
通学に不便な学校や選ばれにくい小規模中学校において、創意と工夫ある学校づくりを推進すべきと考えますが見解を伺います。
教育長
学校選択制は特色ある学校づくりや開かれた学校づくりを推進するために導入されました。
令和2年7月に行ったアンケートでは、入学した学校を選択した理由として、地元の学校で通学がしやすいこと、希望する部活動が充実していること、いじめが少なく生徒同士の雰囲気が良いこと、学校施設や設備が充実していること、地域とのつながりがあることが挙げられました。小・中連携教育、キャリア教育、心の教育など各学校の実情に合わせた特色ある取り組みを進めています。
平成20年度より学校裁量で予算が執行できる元気な学校創造事業を立ち上げ、独自の取り組みを実施しています。
学校選択制を通じて各学校が選ばれる学校を目指し、創意と工夫ある学校づくりを支援しています。