令和5年12月定例会 本会議 一般質問(久保議員)
いじめの対応について
久保 大憲
北部中学校の自殺事案に関する第三者委員会の調査報告書には、中学校や市教育委員会の対応について約30ページにわたって記載がある。その中で、学校や市教育委員会に、いじめ防止対策推進法や基本方針などに沿った対応が不十分であったことを数多く指摘している。
法や指針などが遵守されていなかったことについて教育長の見解を問う。
教育長
調査組織から御指摘いただいた内容を大変重く受け止め、いじめの認知及びその対応に不備があったことや学校及び教育委員会の対応が組織的な対応ではなかったことは申し訳なく思っている。
久保 大憲
法や指針などを100%遵守しても、いじめの重大事態が発生する可能性はある。しかし、法令や指針などを遵守していない環境下で重大事態が発生し、深刻化し、自殺事案が発生した以上、私は市教育委員会や学校が責任を免れることはできない。
市教育委員会や学校が法の指針などに沿った対応が徹底されていれば自殺を防ぐことができたと考えるが見解を問う。
教育長
この事案における痛ましい結果を防ぐことができたかどうかは推測となるため、言及は差し控える。
久保 大憲
北部中学校の事案で、加害生徒も関係した教職員も一生癒えることのない深い傷を負ったものと考える。法や指針の徹底は被害児童・生徒を守るだけでなく、加害児童・生徒や現場の教職員を守ることを再認識していただきたい。
学校の特定の教職員がいじめに係る情報を抱え込み、学校いじめ対策組織に報告を行わないこと。いじめの通報を受けても調査しないことや調査結果を市教育委員会に報告しないこと。重大事態の要件を満たしているにもかかわらず対応を怠ること。被害児童・生徒や保護者に対して調査手法やスケジュールについて適切な情報提供を怠ること。以上は非違行為ではないか。
教育長
一般的には非違行為に当たるものと考えている。
久保 大憲
教職員を含む地方公務員は、法令違反や職務上の義務に違反した場合は懲戒処分の対象となる。市教育委員会や学校で定める基本方針などの違反も、県教育委員会が定める教職員の懲戒処分の指針の一般服務関係の不適切な事務処理に該当するおそれがある。
さらに管理職は、監督責任関係の指導監督不適正や、報告を怠った場合には非行の隠蔽、黙認に該当するおそれがある。北部中学校の事案以外にも、いじめの重大事態の調査に関連して、先ほど確認した非違行為があったことを私自身は把握している。非違行為は任命権者である県教育委員会に報告していると思っていたが、公文書公開請求を行ったところ、平成31年4月から本年9月末までの間、いじめの重大事態の調査において、市教育委員会、学校、教職員におけるいじめ防止対策推進法に違反する行為について1件も報告をしていないということが判明した。
なぜ非違行為を任命権者である県教育委員会に報告していないのか。
教育長
学校は、いじめを認知した上で、事実関係の調査、被害者のケア、加害者への指導などの必要な対応を行ってきていることから、処分量定の判定に当たり、懲戒処分相当までには当たらないものと考え、県教育委員会への報告の必要はないものと判断した。
久保 大憲
懲戒処分を科すか否かは任命権者である県教育委員会の専権事項であり、市教育委員会が懲戒に当たるか判断し報告しないということは問題。
もし、市教育委員会や学校の管理職が部下の非違行為を知りながら上司や任命権者に報告しない場合は、それ自体が指導監督不適正や非行の隠蔽、黙認に抵触する可能性がある。
市教育委員会や学校現場で非違行為があったことを議会で指摘し、報道されたものもある。県教育委員会から今までに問合せや照会があったか。
教育長
この事案における痛ましい結果を防ぐことができたかどうかは推測となるため、言及は差し控える。
久保 大憲
県教育委員会の姿勢も問題。任命権者として、適切な対応を日常的にしていれば、市教育委員会や学校現場で法令遵守が徹底され、いじめに苦しみ、不登校となった児童・生徒が救われたケースもあったかもしれない。
本定例会で県教育委員会に対応や改善を促す意見書の提出を、議会運営委員会に提出したい。
県教育委員会や国に対して対応の改善を求める「いじめ防止対策推進法の遵守徹底を求める意見書」は、議会運営委員会において、富山市議会自民党等の反対により提出に至りませんでした。
久保 大憲
国のガイドラインや市の指針には、調査実施に当たって、学校現場等で法や指針が適切に運用されていたか、分析を行うよう明記している。
過去5年間の分析結果について公文書公開請求をしたところ、北部中学校の事案以外の分析結果は1枚もないことが判明した。何ら分析をしたこともなければ、再発防止のために共有したという事実も一切ないと言わざるを得ない、説明を求める。
教育長
現に発生している事態に対して適宜分析と共有を繰り返しながら対応を進めている。
久保 大憲
それはできているとは言わない。
現場の教職員が一生懸命頑張っているのは理解している。その教職員に深い傷や重い十字架を背負わすようなことはあってはならない。
北部中学校の事案以外でも、いじめがエスカレートしないように指導し、被害児童・生徒に寄り添って組織的な対応が継続して行われていれば、不登校の早期解消やさらに深刻な事態に発展せず、加害児童・生徒に重い重い十字架を背負わせずに済んだ可能性がある。現場で法や指針に沿った対応がなぜできなかった理由を把握し、分析をすれば、たくさんの関係者を救うことができるようになる。今からでも徹底していただきたい。
除雪の待機料について
久保 大憲
毎年、自民党富山県連青年局と建設業協会青年委員会との意見交換会を行っている。
富山市内の業者から「積雪が予想される場合には、出動要請があった場合に即対応できるように社員を待機させているが、積雪量が少なくて出動しなかった場合に、国や県は待機料を支払う制度が整っているが、富山市はない。待機し、出動しない日が続くと、人件費の負担が大きくなり経営を圧迫してしまう。ぜひ待機料を支払ってほしい。」という相談を受けた。
市道除雪は、県道や国道と比較すると延長が大変長く、除雪車の台数や人員も多いため、待機料の負担も大きい。昨今の不安定な気象状況からも待機しても出動しないケースが増えている。除雪を辞退することも検討せざるを得なくなるという声もあった。
実際、直近5年間で19社が除雪を辞退している。本市の除雪体制の持続可能性が危うい。
国土交通省の担当者からは、待機料は適切に支払うべきとの見解をいただいた。
市として、待機料の支払いに向けて県内外の事例を調査してはどうか。
建設部長
他都市の事例も参考としながら、今後調査・研究してまいりたい。
久保 大憲
富山市民の生活、積雪時の経済活動を守っている除雪業者がしっかりと持続可能な形になるように、待機料の支払いは必須。調査・研究を進め、事業者が除雪に安心して取り組めるような環境をつくっていただきたい。