代表質問・一般質問

令和4年12月定例会

久保 大憲くぼ ひろのり

質問日 令和4年12月8日(木)
区分 一般質問
一問一答
  • 不登校児童・生徒への対応について

令和4年12月定例会 本会議 一般質問(久保議員)

不登校児童・生徒への対応について

久保 大憲

 「幸せ日本一とやま」の実現に向けて市長並びに当局、議会が取り組む中、中学生が自ら死を選んだことは痛恨の極みであり、御冥福をお祈りするとともに、御遺族には心よりお悔やみを申し上げます。
 「誰も助けてくれない」というメッセージは、社会や私たち大人に対する失望であると重く受け止めている。
 今回の事案についての市長の思いと、今もいじめや様々な環境の中で希望の光を見いだすことができない児童・生徒やその保護者に対して、市長としての思いをお伺いします。

藤井市長

 本市の中学生の尊い命が失われたことを大変重く受け止めている。お亡くなりになられた生徒の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、保護者並びに御遺族の皆様に謹んで哀悼の意を申し上げます。
 悔やんでも悔やみ切れない思いが今なおある。
 今後は、調査及び事実認定、検証など、教育委員会と情報共有を図るとともに、相談体制の強化・充実により一層努めてまいりたい。

久保 大憲

 北部中学校は、当該生徒が1年生のときと2年生のときの計2回、調査を行った。
 北部中学校が1年生のときに行った調査結果について教育委員会は報告を受けていたのか。

教育委員会事務局長

 当該生徒が1年生のときに学校が行った聞き取り調査は、その時点では報告を受けていなかった。

久保 大憲

 調査結果を報告しなかった学校は明確な法令違反。
 平成30年9月定例会で、いじめがなかったことを理由に調査結果を報告しないことは法令違反と指摘し是正を求めたが、改善していなかったことに憤りを感じる。
 さらに学校長は、一方的でなかったことから人間関係のトラブルと判断した旨の発言をしているが、平成18年から一方的という要件は外されており、学校長の認識は明確に誤り。これも平成30年9月定例会で指摘している。
 2年生のとき、学校が再調査を行った端緒と調査結果について問う。

教育委員会事務局長

 本年(令和4年)3月に当該生徒の保護者から学校に対し、1年生のときの人間関係のトラブルについて再調査の依頼があった。その時点で、学校から口頭で報告を受けた。
 その際、口頭で学校に指導を行い、必要に応じて報告・相談をするよう指示した。

久保 大憲

 当該生徒は、2年生のときに抑鬱と診断されたという報道があった。国の方針では、重大事態のケースとして、精神性の疾患を発症した場合を例示している。
 さらに、児童・生徒や保護者からいじめにより重大な被害が生じたという申立てがあったときは、その時点で学校がいじめの結果ではない、あるいは重大事態とは言えないと考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告、調査に当たると明記してある。
 さらに、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインでは、重大事態を把握する端緒として「人間関係が原因で心身の異常や変化を訴える申立て等の「いじめ」という言葉を使わない場合を含む」と書いてある。
 学校の、調査や聞き取りの際にいじめという単語が発せられなかったため、認知しなかったという主張は理解できない。
教育委員会は重大事態が発生したものとして対応するよう指導すべき立場にあり、2年生の時点でいじめの重大事態の発生もしくは発生の疑いがあると判断するべきだったのではないか。

教育委員会事務局長

 学校は、調査を行うなどの対応はしていたが、重大事態との認識はなく、重大事態に対する組織的な対応になっていなかった。

久保 大憲

 場当たり的な対応だったと批判せざるを得ない。
 事前調査で、富山市教育委員会は法第14条に基づいた富山市いじめ問題対策連絡協議会を設置し、平成25年度から毎年開催をしているが、条例で定めるところにより置くことができるのに条例がないので、早急に条例制定をすべき。

令和5年3月定例会で条例案が提出されました。

久保 大憲

 令和3年度の国の調査では、全国の国公私立の小・中学生のうち24万4,940人が不登校であり、そのうち、主たる理由がいじめの児童・生徒は0.2%という結果だった。
 いじめが原因で不登校になるケースはもっと多いとの意見もある。
 教育委員会は、不登校並びに児童が長期にわたり欠席している事案について、いじめの重大事態に当たらないか全件再調査すべきではないか。

教育委員会事務局長

 不登校や不登校傾向が続いている児童・生徒の状況の把握と組織的な対応を徹底するよう改めて注意喚起を行った。今後は、各学校からの報告や相談について速やかに精査を行い、適切に対応したい。

久保 大憲

 いじめ防止対策推進法は、いじめが認知されないとフォローを受けられない。
 支援を必要とする児童や保護者を支援する法律として児童福祉法がある。不登校児童など、児童が様々な理由で長期にわたり登校ができない状態になり、保護者が養育に悩みを抱えているような場合は要支援児童に該当すると考える。
 同法第21条の10の5では「要支援児童等と思われる者を把握したときは、当該者の情報をその現在地の市町村に提供するよう努めなければならない」と規定されている。
 しかし、事前調査で、不登校に関する情報共有は十分に図られていないことが分かった。
 北部中学校の事案でも、学校や教育委員会はいじめ防止対策推進法から適用除外しておきながら、こども家庭部に情報を提供しなかったことで支援につながらなかった
 いじめ以外の理由で不登校となっている事案は、こども家庭部に積極的に情報を提供すべきではないか。

こども家庭部長

 不登校児童・生徒のうち、要保護児童や要支援児童として疑われる場合には、情報提供が適切に行われている。

久保 大憲

 適切に行われていると思うという答弁は受け入れられない。
 北部中学校の事案がこども家庭部として支援できた可能性はある。現場で、日々、子どもの命を何とかつなぎとめよう、フォローしようとしている職員からすると、この事案を聞いたときに心を痛めた職員もいると思う。教育委員会とこども家庭部の間で、情報提供がしっかりとなされていればその生徒を救うことができたかもしれない、そういった立場に立って、いま一度、適切にできているではなくて、適切にできていたのか、できていなかったのではないかという視点で再度チェックをしていただきたい。