令和4年6月定例会 本会議 一般質問(久保議員)
「幸せ日本一とやま」の実現に向けて
久保 大憲
当局も市民も議員も、それぞれの立場で富山市が、そして、地域が持続可能で明るい未来、「幸せ日本一とやま」の実現を目指している。
しかし、当局の職員の中には、住民説明会などで当局に対して否定的な意見が出ると、後ろ向きな議論と捉えていると思われるケースが散見される。市民の目に当局は上から目線で独善的というふうに映れば、感情論が先に立ち、議論にすらならない。
前向きな議論は、まず課題を共有し、賛否に関係なく、市民一人一人の立場や考え方を尊重し解決方法を一緒に導き出す議論だと思うが市長の見解を問う。
藤井市長
少子・超高齢社会の中で、皆さんがやってほしいことを全て100%できるわけではない。その中で、社会全体で我慢しなければ駄目なことも出てくると認識を持つことで、前向きな議論になってくる。そういう議論をこれからも展開していきたい。
例えば学校再編に関しても、様々な御意見があると、十分承知している。次代を担う子どもたちのためにどのような教育が望ましいかということを第一に考えて、行政と保護者、そして、地域が共に将来に向けて建設的な議論を今のうちから積極的に行っていくことが何よりも重要である。
久保 大憲
我が会派には旧大山町を地盤とする泉議員がいる。泉議員とは当選同期でもあり、旧大山町の様々な課題についていつもたくさん教えていただいている。
初当選した平成29年の12月には、商工労働部が所管している「らいちょうバレースキー場」のゴンドラリフトの老朽化が明らかになり、その後、改修不能として撤去された。平成30年6月には、教育委員会が小見幼稚園の園児募集停止を決定し、翌年度には閉園になった。令和2年3月に企画管理部が公表した大山地域公共施設複合化事業基本計画では、再編に伴い、大山文化会館の615人収容可能なホール機能を、地元からは300席で妥協するというような提案をしたが、発表された整備計画では250席となっていた。令和2年12月には、建設部が、住民が架け替えを強く求めていた瓶岩橋について撤去するという方針が示された。そして、今年度、令和4年度には、教育委員会から旧大山町の4つの小学校を1つに統合するという案が地域に提示された。
僅か5年の間に、旧大山町の住民の皆さんの元には様々な部局が入れ替わり立ち替わり入ってきて、大変受け入れ難い提案や決定の報告を受けてきたことになる。地域の皆さんのお気持ちは察するに余りある。
旧大山町のみに限らず、当局の皆さんが地域に出向くときには、部や課ではなく、当局として地域に入るという意識を持って、他部局の取組もできるだけ把握した上で住民説明会に臨むよう強く要請する。
藤井市長の掲げる「幸せ日本一とやま」の実現に向けて、東北大学大学院で研究、定義されている「地域への愛着」の考え方を参考するよう提案する。
「地域への愛着」を構成する4つの概念には、1つに、「人とのつながりを大切にする思い」として「地域の人たちとの交流を通して暮らしの営みを分かち合えていることにありがたさを感じ、この地域の一員として周囲の人たちとのつながりを大切に思う気持ち」、2つに、「自分らしくいられるところ」として「この地域には自分の原点や大切な思い出があり、ここに自分の居場所を見出し、安らぎや安堵感を得ることができているという安寧的な感覚」、3つに、「生きるための活力の源」として「この地域での暮らしの営みに楽しく専心することができ、そこから生きていくための活力源を得ることができているという闊達的な感覚」、最後に、「住民であることの誇り」として「この地域の住民であることに誇りを感じ、この地域の人たちと共に自分たちの地域の良さを守り、より良くしていきたいという願いやかかわろうとする気持ち」、こういったものが概念として挙げられている。藤井市長が掲げる「幸せ日本一とやま」の実現と「地域への愛着」の醸成は合致するところが多い。
今後、「幸せ日本一とやま」の実現に向けた政策立案やその成果や評価に「地域への愛着」の概念を活かしてはどうか。
企画管理部長
本市にとっても大変意義のある研究成果である。
市では、この研究内容なども参考にしながら、引き続き地域住民の健康増進並びにソーシャルキャピタルの醸成とシビックプライドの向上に取り組み、「幸せ日本一とやま」の実現を目指してまいりたい。
職員懲罰審査委員会について
久保 大憲
地方自治法施行規程第16条に「市町村及び特別区に職員懲戒審査委員会を置く」とある。特別職に対して免職や過怠金といった懲戒処分をするには、この委員会の議決が必要となる。
事前の調査で、本市に職員懲戒審査委員会がないことが分かった。この政令は昭和22年に施行されたもので、70年以上にわたって本市は政令に違反していたことになる。
政令にのっとり職員懲戒審査委員会の規則を早急につくり、委員会を設置すべきではないか。
企画管理部長
本市の副市長に重大な非違行為があった場合に、市長は、1つには、従前の地方自治法施行規程に従い、職員懲戒審査委員会の議決を経て免職等の懲戒処分を行うか、または、地方自治法第163条ただし書の規定に基づき解職するか、このいずれかを選択できることになると考える。
なお、地方自治法施行規程では、戦後間もない時期に制定された政令のまま現在の物価や経済情勢にそぐわない、あるいは、到底市民の納得が得られない内容のものが一部あり、この規定に基づいて対応することが果たして市民の理解や社会一般の常識から考えて妥当であるのかどうか十分検討する必要がある。
久保 大憲
いかなる内容であっても、行政は法令に従わないといけません。行政が法令を守っていない状態を正当化するかのような答弁は大変残念でした。
法令遵守は行政の当然の責務。政令にある以上設置すべきではないか。
企画管理部長
本市において新たに職員懲戒審査委員会を設置する考えはない。
事前の調査では、当局から「委員会を置かないことすることはできません。」「懲戒処分に該当する事案が発生した場合には、地方自治法施行規程に沿って対応しなければならない。」といった主旨の書面と説明を受けていたのですが、答弁は異なるものでした。その資料も渡していました。会派として、再調査並びに事前の説明と答弁が異なることについて抗議を申し入れました。
8月24日に担当課長が訪れ、県を通じて国に確認したところ、「委員会を置かないとすることはできない」との結論に至り、今後、関係規則を制定する方向で検討すると説明を受けました。事前の説明、6月定例会の提案の通りとなった訳です。市は質問通告後、十分な調査もせず、誤った答弁に至ったことは残念でなりません。