令和4年3月定例会 本会議 一般質問 (久保議員)
家庭ごみ有料化について
久保 大憲
市は、家庭ごみ有料化の背景として、本市の市民1人当たりの家庭ごみの排出量が、全国平均を上回っていることを挙げているが、市はその理由について、どのように分析しているのか。
環境部長
本市の一般廃棄物の再生利用率は全国平均より高い状況が続いている。
一方で、高いリサイクル意識により発生抑制の意識が希薄となり、物を大切にしてごみにしないという行動につながりにくくなっているのではないか。
久保 大憲
日常的な街路樹の落ち葉清掃や、道路側溝や農業用排水路の維持管理で排出されるごみを地域のごみステーションに出した場合、家庭ごみとしてカウントされる。純粋な家庭ごみの量について調査をしないと、単純に市民の発生抑制の意識が薄いとは言い切れない。
代表質問で有料化の理由の一つに、受益者負担との発言があった。受益者負担というのは、公共サービスなどの事業によって利益を受ける人が、利益の度合いに応じて、その事業に係る費用を負担すべきという考え方。
ところが、本市のごみ処理は富山地区広域圏事務組合が行っており、処理施設の更新計画や将来負担について、本市は正確な数字を持っていない。
つまり、現在までの有料化の検討は、受益者負担としながら、根拠になる数字がないまま進めている。
行政が回収する包装容器や古紙などの資源物はごみ総排出量にカウントされる。一方で、スーパーの店頭やPTAなどが民間事業者と直接取引をする資源集団回収は、総排出量にはカウントされない。
民間の取組を活性化し、市民1人1日当たりのごみの排出量を減らしてはどうか。
環境部長
民間事業者が自らの責務等として行われている資源物回収への支援や、PTAなど地域の団体が主体となり実施されている資源集団回収への支援の拡充は現時点で考えていない。
久保 大憲
台所で出る生ごみを細かく粉砕して下水道に流すディスポーザーという機械がある。
令和3年度の富山市家庭ごみ組成調査結果によると、燃やせるごみのうち生ごみの割合が34.5%と1位となっている。ディスポーザーを通して生ごみを下水道に流せば、大幅に家庭ごみを削減できる。
一般的なディスポーザーを導入した場合のメリットについて問う。
環境部長
1つに、燃やせるごみの減量につながること、2つに、調理後すぐに処理できるため、悪臭の発生を防ぐことができること、3つに、集積場でカラスや小動物によるごみ袋の散乱被害を防止できることなど、ごみ減量化や衛生面において有効かつ手軽な手段である。
本市は、生物処理を行った排水を下水道に流すディスポーザーを設置する際、補助金により設置者に対する支援を行っている。
久保 大憲
さらに、ハエやゴキブリといった衛生害虫の発生予防や、ごみの回収、処分の費用が軽減される。さらに、生ごみは水分を多く含んでいるため、なかなか焼却炉で燃えないので、化石燃料を添加して燃やしている。生ごみを減らせば、化石燃料を焼却の際に使う必要を減らすことができる。
排水処理システムのディスポーザーは、各家庭で汚泥の抜取りが必要となり、メリットが半減し、なかなか導入が進んでいない。現在県内では黒部市や魚津市が、排水処理システムを設けない直接投入型のディスポーザーを導入している。
直接投入型のディスポーザーは設置後のストレスも少なく、世帯の消費支出が大きく、共働き世帯が多く、持家率が高い、本市のライフスタイルにマッチしている。
今後は、人口減少に加えて、節水型のトイレやシャワーが普及し、下水道の使用料収入が減少することが予想される。
魚津市では、ディスポーザーを使用した場合、使用料として月額下水道料金に519円を上乗せして徴収をしている。ディスポーザーは下水道施設の有効活用や新たな財源確保にもつながる。
ディスポーザーの導入について上下水道局の見解を問う。
上下水道局長
今後の国や他市町村の動向にも注視しながら調査・研究を進めたい。
使用料金の上乗せは、費用対効果を踏まえ、事業の採算性について慎重に検討したい。
久保 大憲
提案した様々な取組を実行に移しながら、例えば令和6年までの家庭ごみの削減目標を定めて、目標を達成すれば有料化を見送ってはどうか。そうすれば、市民一人ひとりの発生抑制の意識も高まる。
市民に負担を強いることなく、目標達成ができれば、市にとっても、市民にとっても最高の結果になる。もし目標が達成できなかった場合でも、現在のような有料化ありきの議論の末に負担を強いるよりも、市民は前向きに受け入れてくれると思う。
一定の削減量を目標に掲げた上で市民に自発的な減量化の取組を促し、その目標が達成された場合には有料化を見送るという方法について当局の見解を問う。
環境部長
本市はこれまで、できる限りの施策に取り組み、ごみの減量化・資源化に努めてきたが、ごみ減量化は十分に進んでおらず、第2次富山市一般廃棄物処理基本計画で調査・検討することとしていた家庭ごみの有料化について、本年度策定中の後期計画の主な施策に位置づけ検討することとした。
久保 大憲
質問の回答になっていない。市民に一定の目標を掲げた上で、達成ができたら見送るということは全く検討もしないということか。
環境部長
これまでも目標を定めて減量化に取り組んできており、その目標が達成できないことから検討に入った。
久保 大憲
市民の感覚と乖離している。有料化という言葉が出てきて初めて気づくことがある。市民の声にしっかりと向き合っていかないと、市政は今後どこかで行き詰まると私は危惧している。
有料化は、ごみの減量化という目標を実現するための1つの手段でしかない。行政が目標を達成するための手段として市民に負担を強いることは、最終手段でなければならない。
当局はごみの減量化について様々な取組をしてきたと主張しているが、私の中ではまだまだ改善の余地がある。
現時点では、1つに、本市の1人当たりのごみの排出量が多い原因を特定できていないこと、2つに、処理施設の更新や処分費用の将来負担が不明確であること、3つに、減量化に向けた取組の余地があることから、有料化ありきの議論は時期尚早である。
家庭ごみ有料化の導入は結論ありきで進めるのではなく、市民の理解が得られるよう説明や減量化の取組過程が重要である。
ほかの自治体では、行政が再利用できそうな家具を回収して必要な家庭に受け渡す事業をしているところもある。
まだまだ本市には発生抑制できる余地があることから、拙速な有料化ありきの議論をやめて、お互いに知恵を出し合いながら、丁寧な議論をお願いしたい。