令和3年9月定例会 本会議 一般質問 (久保議員)
新年度の予算編成に向けて
久保 大憲
9月定例会が終わると、来年度の予算編成が本格化する。藤井市長にとっては初めての予算編成になるが、本市の予算編成の過程について問う。
財務部長
10月に新年度の予算編成方針を各部局に通知、11月中旬に各部局から予算要求が提出される。
12月に入り、財務部による部局へのヒアリングを行い、査定案を作成し、1月中旬の財務部査定案の市長協議、下旬の復活市長査定を経て予算案が固まる。
その後、2月下旬の記者会見にて予算案を発表し、3月議会に予算案を提出という流れになる。
久保 大憲
昨年度の予算編成方針では、基本的な考え方を示した上で、政策的経費についてはシーリングを設定している。
にもかかわらず、各部局から提出された予算要求総額は1,820億円。最終的な当初予算額は1,727億円。結果的に100億円近く査定によって減額をしたことになる。
令和2年度分においても各部局から提出された予算要求額から72億円減額している。慢性的に過大な予算要求が各部局から出されているのではないか。
過大な予算要求のしわ寄せは、予算編成権のある市長と査定を行う財務部の負担となる。
毎年100億円近い減額査定を行うために、多岐にわたる全ての事業を短期間で優先順位を定め、金額を査定することは負担が大き過ぎる。
まず、各部局が予算編成方針を遵守した予算要求をするよう徹底するべきではないか。
財務部長
予算要求基準の遵守を徹底してまいりたい。
久保 大憲
一方で、予算編成方針にも課題がある。
記録が閲覧できる過去10年以上にわたって、内容が全く代わり映えない。こういったことが形骸化につながっている。
さらに、予算編成方針やシーリングを無視した予算要求を暗に認めてきたことで、各部局の自主性や当事者意識の醸成を阻害してきた部分もある。
今年の予算編成は、過去の通知にあるように、発想を抜本的に転換し、前例にとらわれることなく、あらゆる施策に創意と工夫を凝らして編成に当たっていっていただきたい。
市民の要望を100%かなえることができない以上、不満に思う市民が必ず存在することになる。財政状況が厳しくなるにつれ不満も大きくなってくる。
当局の皆さんは、その市民の不満をしっかりと受け止め、丁寧に説明し、理解をいただくための労力を惜しんではいけない。
予算案の議会への提出時期や各部局からの要求内容、市長や財務部の査定基準など、議会での予算審議を的確かつスムーズに行えるよう、今後は予算編成の透明性を確保していくべきではないか。
財務部長
市の毎年度の予算については、市民生活に与える影響が大きいことから、予算編成の透明性を確保するということは重要な視点。
今後どのような取組ができるのか、他自治体の事例も参考にしながら調査・研究してまいりたい。
久保 大憲
私たち自由民主党会派は、同じ政党に所属しているが、本質的には地域に根差した議員の集まり。
当局の皆さんと同じように、厳しい財政状況の中でも、将来の責任を負いながら持続可能な財政運営をするために、市民の皆さんに、現状を伝え、理解を促していく役割を担っていると自負している。
その役割を十分に果たすことができるよう、情報開示の在り方について、予断を持たれないような工夫ある情報開示についても検討いただきたい。
富山市内の農業について
久保 大憲
市内の農家が今までどのような役割を果たしてきたと考えているのか。
建設部長
農家の皆様には、道路などののり面の草刈りや用排水路のしゅんせつなど、日頃から維持管理に御協力をいただいている。こうした皆様の御尽力に感謝申し上げるとともに、今後も道路の維持管理や浸水対策等に引き続き御協力をいただきたい。
久保 大憲
農家の皆さんは、市民の食卓だけでなく、市民の生命や財産、そして、今の生活を守ってくださっている。
そして、農家の皆さんの不断の努力によってもたらされたこの生活を当たり前のように享受している私たちが、いま一度、農家の皆さんへの感謝の気持ちを持って、これから農家の皆さんと共に法定外公共物の維持管理について考えていかなければならない。
私が小学生の低学年のときに、学校敷地のすぐ隣に畑があり、春先にジャガイモやサツマイモを植えて、夏には当番で水やりや草むしりをして、秋には収穫をみんなで喜んだ。
児童・生徒にとって、農業体験は苦労の先にある喜びを知る成功体験として記憶にも残り、進学や就職、転職など、人生の選択にこの成功体験が影響を与える可能性がある。
担い手確保に向けた取組としても効果があると思う。
しかし、堀川南小学校では、いつの頃からか、利用していた畑は宅地となり、学校行事としての農業体験の機会は失われていた。
現在の小・中学校における農業体験の現状とその効果について問う。
教育長
学校敷地外での農業体験は、令和元年度に実施した学校数は、小学校65校中41校、中学校26校のうち4校。
活動を通して、苦手だったピーマンが食べられるようになった、農家の方々の苦労や熱い思いに触れ、農業への理解が深まるとともに、自分の住む地域の代表的な産業に誇りを持つことができたなど、汗を流しながら自然とふれあう農業体験だからこそ得られる学習効果があった。
久保 大憲
児童・生徒の農業体験の機会確保について教育委員会の見解を問う。
教育長
近隣に適切な農地がないなどの理由により、実施したくてもできない学校がある。
今後、学校から農業体験の実施に向けての相談があった場合は、農業体験の機会の確保についてしっかりと助言してまいりたい。
久保 大憲
全庁を挙げて、コメの需要喚起と消費拡大に努めていただきたい。
市長にはその先頭に立って、コメ農家が希望を持ち、持続可能な農業が実現できるように取り組んでいただきたい。
藤井市長
コメ農家が将来に希望を持ち、農業を継続していける、稼げる農業の実現に努めてまいりたい。
久保 大憲
本市では、今まで多くの農家が家族や農家同士、集落が一体となって地域を支えてきた。国の進める農地の集約化により、農業従事者は大きく減った。
しかし、農業従事者が減ったのは、国の政策だけではない。市が推し進めてきたコンパクトシティ政策の中で、都市農業の重要性について、認識が不十分だったことも要因のひとつ。市が生産緑地地区制度を導入しなかったことで、多くの兼業農家が農地を手放して、農業から離れた。その結果、富山市の排水路の維持管理や修繕に大きな課題を残すことになった。
藤井市長には、富山市の特性や文化、地域の成り立ちについて、目を向けていただき、多くの市民が希望を持って、安心して生活できる「幸せ日本一とやま」の実現に向けて私も共に邁進してまいりたい。