代表質問・一般質問

令和3年3月定例会

久保 大憲くぼ ひろのり

質問日 令和3年3月11日(木)
区分 一般質問
一問一答
  • 雪害対策について
  • あとがき

令和3年3月定例会 本会議 一般質問(久保議員)

雪害対策について

久保 大憲

本年1月7日から降り出した大雪により市内は大混乱に陥った。車が至るところでスタックし、交通障害が市内全域で起きました。自宅に帰ることができず、車中で一夜を明かす市民もいた。物流が止まり、企業活動が停止し、小売店では品薄となった。市内全ての小・中学校が数日間にわたって休校となった。農業用のビニールハウスは170棟が全壊した。119番通報は、件数が倍増した。さらに、110番通報は全県で5倍まで増加し、ピークの1月9日には1,495件と通常の10倍を超える110番通報が警察に寄せられた。雪害によって亡くなった方もいらっしゃった。
 雪害はあった、これは今定例会の複数の部局長の答弁からも明らかである。
ところが市は除雪を平常対応とし、雪害対策本部を立ち上げなかった。建設部長は我が会派の代表質問に対し、集落の孤立や雪崩による災害などの雪害がなかったことから雪害対策本部の立ち上げには至らなかったと答弁した。
 まず、災害対策本部設置の根拠法となる災害対策基本法の第23条の2には「、市町村の地域について災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合において、防災の推進を図るため必要があると認めるときは、市町村長は市町村地域防災計画の定めるところにより市町村災害対策本部を設置することができる」と書いてある。つまり、災害発生のおそれがある場合でも災害対策本部は立ち上げることができるわけで、災害が発生していないから雪害対策本部を立ち上げるに至らなかったという答弁は、法の趣旨を十分に理解できていないと言わざるを得ない。
 さらに、災害対策基本法で位置づけられた富山市地域防災計画において、雪害対策本部の設置基準を明記されている。その要件は、1つに「市内各地で雪害の発生が予想され、その対策を要するとき」、2つに「市内の一部の地域に雪害が発生し、その規模及び範囲から見て雪害対策本部を設置しその対策を要するとき」とある。孤立集落や雪崩が起きていないので雪害対策本部を立ち上げるには至らないという答弁は、この地域防災計画の基準からも整合性がとれない。
 さらに、あの状況下で孤立集落が発生するおそれがない、さらに雪害が発生しないと判断したのだとしたら、危機管理の考え方そのものに問題があったと言わざるを得ない。
さらに、道路除雪実施計画では、平常時の道路除雪については、11月15日から3月31日まで常設される実施対策本部がこの除雪に当たるということになっている。ただし、実施対策本部は降雪状況によって平常態勢から警戒態勢、緊急態勢へ移行するとある。警戒態勢への移行の目安は積雪深が90センチを超えたとき。本年1月7日からの雪害では、90センチを超えていた。さらに緊急態勢への移行は、警戒する積雪深を大幅に超え、主要路線における降雪状況、降雪強度、今後の降雪予測などから緊急事態に陥るおそれがある場合に、災害対策本部長が県と協議の上で決定するとある。緊急態勢における措置の1つとして、委託業者の除雪機械やオペレーターの総動員となっている。当時、除雪機械やオペレーターは総動員で除雪に当たっていた。完全に計画上は緊急態勢の措置を取っている。計画では緊急態勢に入るときには、まず災害対策本部を立ち上げて、その対策本部長が県と協議した上で、総動員の措置が取れるとなっている。これを平常時の除雪の延長で行ったのは、組織としてのガバナンスがとれていなかったと言わざるを得ない。
 当時、雪害対策本部を立ち上げるべきではなかったのか見解を問う。

建設部長

私は道路除雪実施本部の本部長。私が災害対策本部を立ち上げるわけではないというところをご理解いただきたい。


質問の答えになっていない。災害対策本部を立ち上げる権限を有するのは市長。権限のない建設部長が自ら手を挙げて発言し、市長は発言しなかった。

久保 大憲

公務員の皆さんは法と計画にのっとり、判断、行動するのが大前提です。融通が利かない、マニュアルどおりだと言われたとしても、法と計画といった根拠をないがしろにしては行政組織としてのガバナンスが崩れてしまう。
今回の対応について、いま一度、法と照らし合わせて妥当だったのか、また、計画との齟齬がなかったのか、しっかりとチェックをしていただきたい。

 本年1月の大雪で市には市民からの問合せが1,600件あった。
 私の元にも昼夜を問わず除雪の要望が届いた。道路管理課に電話しても、なかなか繋がらない。なんとか繋がった際には、職員の方は大変丁寧に対応してくださった。ただ、その声からは相当な疲労感が伝わってきた。電話の奥では別の電話の応対をする職員の声や、鳴り止まない電話の着信音が聞こえた。当時がいかに異常な状態だったか、現場にいれば分かったはず。これを通常の除雪体制で対応しようとしたことは私には到底理解ができない。
 建設部長は、問合せが相次いで除雪が遅れ、市民への情報伝達が不十分であったということを陳謝しているが、災害対策本部を立ち上げていれば、市民からの通報や問合せの処理は企画管理部や市民生活部が組織的に対応することになっている。除雪への影響も最小限に抑え、市民への情報伝達も改善できた。やはり、対策本部を立ち上げるべきだった。
 今後は災害のおそれがある段階で対策本部を立ち上げるべきではないか。

企画管理部長

今後、建設部はもとより、企画管理部としても市の内部体制に課題がないか点検し、改善すべき事項があれば必要な対応を行う。
 今回、久保議員からいただいた激励の意味を込めた御質問を励みに、今後とも部の職員一丸となって企画管理部に課せられた役割をしっかりと果たしてまいりたい。

あとがき

久保 大憲

 本年の大雪は、市民生活に大きな影響を及ぼしました。行政に災害という認識がなかったことで、被害と混乱は大きくなりました。災害に強いまちづくりには、災害発生の恐れが生じたときから、適切な準備と対応をする必要性を痛感しました。
 一方で、私たち市民も災害時にはお互いに協力し合うことが必要だと感じました。
災害につよいまちづくりを実現するために取り組んで参ります。