代表質問・一般質問

令和6年12月定例会

柞山 数男ほうさやま かずお

質問日 令和6年12月9日(月)
区分 一般質問
一問一答
  • 除雪対策について
  • 災害拠点の上下水道耐震化について
  • 富山まちなか病院再整備について
  • イタイイタイ病について

令和6年12月定例会 本会議 一般質問(柞山議員)

除雪対策について

柞山 数男

交通量の多い路線での消雪装置の設置が急務ですが、消雪装置の設置状況と今後の見通しについてお伺いします。

建設部長

富山市では、緊急時にも円滑な道路交通を確保するため、消雪装置を緊急輸送道路や主要な幹線市道に優先的に設置しています。
2023年11月末現在、緊急輸送道路の約4%、17キロメートルに設置が完了し、現在も草島東線や青島小倉線などへの設置を進めています。今後も早期完成を目指し、さらに町内会などの団体が設置する消雪装置への補助制度の活用も進めていく予定です。

柞山 数男

除雪待機料制度の調査・研究について内容をお伺いします。

建設部長

待機料は積雪による除雪作業を待機した除雪業者に支払われる経費です。
現在、富山県、南砺市、北海道、青森県、山形県、新潟県、福井市などがこの制度を導入していますが、富山市では地域主導型と市主導型の併用であり導入には課題がありますが、国土交通省の計画でも待機料制度の必要性が示されており、今後も検討を続ける予定です。

災害拠点の上下水道耐震化について

柞山 数男

上下水道事業の経営の見通しや事業推進のための安定経営が重要であり、今後の事業経営についてお伺いします。

上下水道事業管理者

今年の元日に発生した能登半島地震を受けて、上下水道管路の耐震化の重要性を認識しました。
 富山市は広大な市域を持ち、水道管と下水管の総延長は非常に長く、これらの施設の耐震化や老朽化対策が急務であり、経営の健全化が重要です。市の水道料金と下水道使用料は、合併後の統一料金により据え置かれていますが、経営環境は厳しくなってきています。上下水道局は経費の節減や業務の効率化を進め、料金改定の検討も必要であります。今年設置された富山市上下水道事業経営審議会では、適正な料金設定について審議が行われており、来年5月頃に答申が予定されています。
 今後、上下水道施設の更新や耐震化を進めるためには、市民の納得と共感を得ることが重要であり、経営の透明性向上を図るために情報発信を強化してまいります。

富山まちなか病院再整備について

柞山 数男

富山まちなか病院再整備の基本構想を今年度内にまとめるということでありますけれども、再整備の考え方についてお伺いします。

病院管理者

富山まちなか病院の再整備について、今年度から病院職員による基本構想内部検討委員会が設置され、再整備後の病院の基本理念や機能、役割の検討が進められています。また、10月には外部有識者等で構成される富山まちなか病院再整備等検討委員会が設置され、第1回検討委員会が10月28日に開催されました。検討委員会では、再整備の方向性、医療提供の方向性、再整備を行う場所、再整備の手法の3つの検討項目が示されています。
これらの検討結果を基に、再整備に向けた基本的な考え方を取りまとめ、今年度末には富山まちなか病院再整備基本構想を作成する予定です。

イタイイタイ病について

柞山 数男

神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会は、復元田の軟弱地盤の補修事業や健康調査の受診率向上に向けた説明会、原因企業の神岡鉱業株式会社への立入調査など、被害者団体による取組がされてきております。
これまで富山市の具体的な関わりや取組についてお伺いします。

環境部長

我が国における四大公害病の1つでありますイタイイタイ病や、川水や農地のカドミウム汚染につきましては、市町村合併以前から旧富山市、旧婦中町等において県と共に健康面のサポートや土壌の復元など、様々な対策に取り組んでまいりましたが、市内2か所における観測地点でのそれぞれ年4回の水質調査の実施、平成24年度の開館当初からの富山県立イタイイタイ病資料館への市職員の派遣、被害団体が実施する現地立入調査へ平成29年度からの市職員の同行、本年7月に市立図書館本館で開催した小学4年生から中学生を対象とした資料館の語り部によるおはなし会とパネル展などを行っているところであります。
本市といたしましては、二度とこのような公害が起こらないよう、こうした取組を継続してまいりたいと考えております。

柞山 数男

住民健康調査の受診率は40%以下に低迷しています。被害者団体は健康管理支援制度の啓発活動や各地での説明会を開催しています。この現状について、富山市の認識を質問致します。

福祉保健部長

県は昭和42年度から神通川流域住民健康調査を実施しています。
対象者は昭和50年以前に20年以上居住していた方で、今年度の実績は未確定ですが、昨年度の実績では918名中313名が1次検査を受け、62名が精密検査を受けました。富山市は県から委託を受け、精密検査の受診希望者に対し検査の同行や保健指導を行っています。
市内の富山市民病院、富山県立中央病院、富山大学附属病院で尿検査や血液検査、エックス線検査が実施され、受診者に対して検査結果の説明や生活改善の指導を行っています。

柞山 数男

被害者団体は風化防止のために神通川清流環境基金を創設し、平成30年から県内小学生を対象に清流環境作文コンクールを実施しています。
事業に対する教育委員会の考えをお伺いします。

教育長

小学校5年生の社会科で公害防止の取り組みを学び、表現する機会として清流環境作文コンクールに応募する市内の小学校もあります。また、富山県立イタイイタイ病資料館では、当時の生活や人々の働きを視覚的に捉えることができ、市内の多くの小学校が見学に訪れています。
教育委員会は、これらの事業を通して環境問題について考えることが非常に有意義であると考えています。

柞山 数男

資料の散逸や破損を防ぐため保存・整理が行われており、富山市が協力できることや、成果品の保存、周知についての考えをお尋ねします。

環境部長

被害団体は現在、環境省や研究者の協力を得て約4,000点の資料の保存・整理に取り組んでおり、富山市もこれらの貴重な資料が確実に保存され、後世に伝えることが重要と考えています。資料の保存・整理の進捗状況を注視し、引き続き被害団体と連携していく予定です。

柞山 数男

市長は県議会議員時代にもこの問題に取り組み、公害克服の歴史を世界に広めるべきだと主張していました。
市長の所感を求めます。

藤井市長

イタイイタイ病は四大公害病の一つであり、多大な被害をもたらしました。これまでに認定された患者は201名で、唯一生存していた患者も今年8月に亡くなりました。原因特定から56年を経ても要観察者が存在し、汚染された農地は長期間お米を作ることができませんでした。幼い頃にイタイイタイ病のことを聞き、その恐ろしさと偏見に苦しむ患者と家族に思いを馳せています。
県議会議員時代には富山県立イタイイタイ病資料館の管理運営や事業展開について質問し、公害の風化防止に取り組んできました。資料館では、公害の実像や被害団体の取り組みを紹介し、神通川の清流と自然環境を次世代に引き継ぐ未来志向型の取り組みを行っています。貴重な教訓や自然の尊さを未来の子どもたちに引き継ぎ、世界に発信することが重要であります。市としても取り組みを継続し、関係者と連携しながら記録と記憶を後世に伝えていくことが大切です。