令和6年12月定例会 本会議 一般質問(押田議員)
令和6年能登半島地震後の防災対策について
押田 大祐
本年3月議会では、地震直後の市の対応について、津波に対する避難行動の知識不足等により、市職員の間でも避難所開設の対応にずれが生じたことや鍵の管理者よりも早く避難所に到達した避難者への対応が発生したことなど、訓練の想定外の事象も生じたことから、今後、今回の地震発生時の避難所開設に係る役割分担や、市職員の災害や避難行動に対する知識やスキルの向上などの課題を整理するとの答弁があった。
令和6年能登半島地震を受け、市の災害時における災害対策本部や避難所など、職員配置に対して改善した点や見直した点はどのようなことがあるのか?
防災危機管理部長
災害対策本部の人員配置の見直しを行った。
市民等からの通報や問合せの処理を担当する広聴班は、昨年度までは14名の職員を配置していたが、対応の長期化や情報収集体制の強化を図るため、今年度は7名増員して21名体制としている。
また、避難所における要配慮者の支援や備蓄物資の輸送指示等に関する業務を担う援護班では、昨年度は8名を配置していたが、輸送体制の強化を図るため、今年度は4名増員し12名体制とした。
このほか、市民への広報や避難所の開設等に関する業務を担う地区センター班では、昨年度までは地区ごとに避難所管理者を含めて4名から7名の職員の配置としていたが、今年度より全ての地区において7名体制としている。
押田 大祐
住民から備蓄物資の到着が遅かったとの声がたくさんあった。
これは、本市の備蓄品は各避難所にあるのではなく、市内の備蓄倉庫に備蓄品を配備して分配輸送する方式を取っており、人員配置や道路の混雑による遅れが生じたことが要因だと考えている。
輸送班の活動が功を奏していたのかどうかを伺う。
防災危機管理部長
時間の設定はしていない。
備蓄物資に関しては、発災直後に避難される場合には非常持ち出し品を持ってきもらうことが基本的な考え方ではあったが、今回、その周知が足りなかった。配送については、29か所の備蓄倉庫から配送することから若干時間を要したというのは事実で、その点については課題が残ったものと考えている。
押田 大祐
この能登半島地震を踏まえて、備蓄計画の見直しを市として検討しているのかどうか見解を問う。
防災危機管理部長
近年、激甚化・頻発化する豪雨災害や能登半島地震の発生など、避難所を開設する必要がある災害が増加しており、これまで以上に備蓄物資の確保の必要性が高まっていることから、現在、物資調達の年次計画の見直しを行っているところだ。
一方で、各家庭で非常持ち出し品や家庭内備蓄を進めていただく、いわゆる自助の取組を強力に推進することが極めて重要であると考えている。
押田 大祐
予測ができない地震避難の第一義は「命を守る」ではないでしょうか。
ましてや、津波等で1分1秒を争う避難になれば物資を持って逃げることなんかできない。特に津波想定のある沿岸部、1人当たり3リットルの水を3日分も持って逃げられるわけはない。おそらく着のみ着のままで逃げる。今回の地震で身を整える間もなかった、非常持ち出し品を持ち出す暇もなかった。手荷物、備蓄品は後回しでいいからまずは「命を守れ」と、今後配布する手引にもしっかりと記載してほしい。
次に、津波の浸水想定区域にある備蓄倉庫は何か所あるのか。
防災危機管理部長
本市の備蓄倉庫29か所のうち、津波の浸水想定区域にある備蓄倉庫は水橋中部防災倉庫の1か所のみだ。
押田 大祐
水橋中部防災倉庫は備蓄場所として完全に見直しが必要だと考えるが、市の見解を伺う。
防災危機管理部長
水橋中部防災倉庫については平成20年度より防災倉庫として使用を開始したものだが、平成24年に県が公表した富山県津波シミュレーション調査の結果、当該倉庫は津波の浸水想定区域に立地していることが判明したものであり、最新の調査では地震発生後2分から5分で最大30センチメートル未満の浸水があると想定されている。
このため本市では、水橋中部防災倉庫に備蓄している物資について、順次、水橋西部小学校をはじめ、他の備蓄倉庫へ移動を行ってきているが、令和8年度に開校する水橋学園に新たに備蓄倉庫を設置することとしており、残りの物資については完成次第、移動することとする。
押田 大祐
水橋学園ができるまであと1年4か月だが、なるべく早めの移転が必要。
その上で、少なくとも臨海地区、沿岸部の備蓄品に関しては避難所に備蓄してあるのが一番安心であると思っているし、それが当たり前だとも考えている。
最終的には、富山市全域、各避難所に備蓄品を配備するというところまで目指していただきたい。
地震以降、防災に対する関心が高まっているが、防災士による防災講座や市の出前講座などの開催状況はどうなっているのか。
防災危機管理部長
防災士による防災講座の開催実績について、今年度は11月末時点では124件で、前年度より48件の増となっており、また、市が実施している出前講座の開催実績については68件で、前年度より26件の増となっている。
押田 大祐
現在の自主防災組織の結成状況はどうなっているのか。
防災危機管理部長
自主防災組織の結成状況については、能登半島地震発生前の令和5年12月末時点で組織数が590団体、組織率が75.5%だったが、本年10月末までに14団体が増え604団体となり、組織率は77.1%となっている。
押田 大祐
地震から1年がたち、市でもいろいろな検証、そして対策が講じられてきた。
今後も対策を講じていく中で、市民を守るのは市長の責務である、その面においても市長の責任、判断は非常に重い。
令和6年能登半島地震の対応からどのようなことを学んで今後の富山市の防災対策に生かそうと考えているのか、藤井市長の見解を問う。
藤井市長
本年1月の能登半島地震では、これまでに経験したことのない大きな揺れの地震や津波警報の発表を受け、多くの市民の皆さんが不安の中、避難を余儀なくされ、また、液状化による建物の被害あるいは道路の損傷が発生するなど、市民生活に大きな影響が生じた。
さらに、甚大な被害を受けた石川県等の被災地の状況を鑑みると、災害対応に当たる職員のマンパワー不足、あるいは道路の寸断による救助活動や物資輸送の停滞などが発生した。こういうことから、公助の対応には限界があることを再認識させられたと同時に、市民の自助あるいは共助が極めて重要になると考えたところだ。
もちろん、その上で公助の在り方についても今、考えさせられているが、どうあるべきかということもしっかりと考えていきたいと思っている。
こうしたことから、市民一人一人が日頃からどのように災害に備えておくべきか機会を捉えて周知・啓発し続けることが大切であると考え、地域や各種団体への出前講座、あるいは「広報とやま」による啓発等を引き続き実施することにより市民の防災知識の普及あるいは意識の高揚を図ってきた。
加えて、能登半島地震後の新たな取組として、全自治振興会を対象とした防災講座を実施するとともに、津波の浸水想定地域の全世帯に津波ハザードマップを再配布したほか、富山市防災の手引きを新たに作成し市内の全世帯へ配布するなど、さらなる防災意識の啓発に努めているところだ。.
能登半島地震の発生から間もなく1年がたとうとしているが、私としては、本年5月に策定した富山市復旧・復興ロードマップに掲げた事業を着実に実行していく。私自身が先頭に立ち、職員一丸となって全力で取り組んでいく。