令和6年9月定例会 本会議 一般質問(江西議員)
今後の都市計画について
江西 照康
津波に対するそれぞれ全く異なる判断による市民の声を聞くことがある。基本となる考え方としては、まず1つ目が、ハザードマップを評価し理解している方々、また、ハザードマップをそもそも理解していない方々、そして、ハザードマップは理解しているのだけれども信用していない方々、この3つの基本的な考え方による見解の相違が発生している。令和元年6月議会で、このハザードマップの認識の不徹底が富山に災害級の地震が発生した際に混乱を招く要因になるのではないかと考え、議会質問を行っている。やはり結果的に今年の1月1日の能登半島地震では多くの混乱が発生したことから、今年の3月議会の会派代表質問でも今後の方針について質問を行っている。市当局では、ハザードマップを徹底周知し、災害時における市民の冷静な対応を呼びかけると回答なされたわけだが、その後、本年6月議会で他の議員の質問に対する回答では、市当局自身がやはりこのハザードマップを信頼していないのではないかと思われるような答弁がなされたというふうに感じている。
例えば、本市の沿岸部の保育施設等における津波を想定した避難訓練の実施状況について問う質問、また、小学校でライフジャケットなどを常備すべきと考えるが見解を問うという質問に対する教育委員会の回答だ。この回答を聞いて、あれと思った。そもそもこの津波ハザードマップにおいて浸水被害を想定している、そういった保育施設や小・中学校は果たして存在するのかお尋ねしたい。
防災危機管理部長
本市の津波ハザードマップで示している浸水想定区域内には保育施設及び小・中学校等はありません。
江西 照康
ということは、この質問の時点で、本来その想定される教育施設というものは富山市にないということになる。津波の浸水区域内にない保育施設等がどのような考えで津波を想定した避難訓練を実施しているのかお尋ねしたい。
防災危機管理部長
議員お尋ねの津波を想定した避難訓練につきましては、津波ハザードマップにおける浸水想定区域に保育施設等はないものの、子ども自身が発達過程に応じて災害発生時に取るべき行動や態度を身につけること、全職員が想定にとらわれず、そのときの実際の状況を見ながら判断し、より適切な行動を取ること等を目指し、様々な訓練を毎年実施している。
江西 照康
避難対象地域を持つ小学校区であっても──津波のおそれのある小学校は、先ほどの防災危機管理部の回答のとおり、ないわけだが、津波の浸水想定区域内にはない小学校がライフジャケットの常備や避難訓練の実施など、どのような考えで津波に備えているのか尋ねる。
教育委員会事務局長
将来、子どもたちが、どこで暮らしていても大きな災害に遭遇する可能性があることや災害は想定を上回る規模で起こることもあることから、様々な災害に対応できるよう避難訓練や、その備えをしているところであります。
江西 照康
議会質問そのものが、富山で大きな地震が発生した際の津波を想定したということに対する質問の回答だから、やはり回答の趣旨からずれている。こども家庭部のほうにお尋ねする。ハザードマップを見た上でやっておられるのか、また防災危機管理部と相談をしているのか。
こども家庭部長
地域防災計画に津波の避難所が指定してありますので、その避難所がある場合はそこを確認して訓練を行っております。
江西 照康
考えがまとまらない多くの市民の方と同じような現象を当局は起こしていると思う。津波が起きたらどうするのと言ったときに、小学校に行って2階に上るというふうな回答をしている。ところが、防災危機管理部は2階に上がるという想定をしていない。こども家庭部はハザードマップを独自にみて津波に対しての対応策を考えている。この津波ハザードマップの記載内容を踏まえた部局間の連携について防災危機管理部にお尋ねしたい。
防災危機管理部長
避難訓練の設定がハザードマップの被害想定と異なっているなどという例があることも承知はしておりますけれども、いかなる訓練もいざというときには役立つものであると考えております。こうしたことから、各部局から訓練に連携を求められた場合には、防災危機管理担当部局としてしっかりとサポートするということが基本であると考えております。
江西 照康
危機管理部では、そもそもそこに着くことしか想定していないのに、保育施設の子どもたちが2階に上がっていくことが基本的な避難行動だと思って上がっていったら、今度は大人も全員上がっていこうと思うわけだ。これでは統率が取れていないと思う。部局間の連携をもっと取るべきだと思うし、そこに問題点があるとは部長は考えないか。
防災危機管理部長
様々な被害想定をもって訓練をするということが大事でございまして、それが2階に逃げることが誤解を招くというのはどうかなというふうには今感じております。
江西 照康
いや、もともと防災危機管理部が基本的にそういうふうな被害想定をしているのであれば何も問題ないのだ。本年1月1日はたまたま休日だった。しかし、これが平日に起こったら、学校も授業しているような中で、外からは2階を目指す人が来る。前回も鍵だとか、学校の校舎の上に上がろうとしたことが問題になって、これを無用なパニックだと表現していた。改めてそこに問題点があるとは思わないのか。
防災危機管理部長
あくまでもその浸水想定区域というものを皆さんが理解した上で避難していただければそういった事態には陥らなかったということは事実でございまして、我々、防災危機管理部としてはハザードマップの周知というのが急務であり、それをしっかりと行っていきたいというふうに考えております。
江西 照康
この統率の取れない行動がどんどん起きると、地震の津波も怖いけれど、それ以外に、火事や、けがをした人を搬送しなければいけないといった大切な行動が止まってしまう。地域で生活している皆さんが安心できなくなる。このハザードマップは、今のところある唯一の科学的な資料だと認識しているが、それが信頼できないなら、つくり直す必要もあるのかもしれない。ただ、その怖さに合わせてハザードマップをつくると、これは「本」と「末」が逆さまになった話になる。この津波ハザードマップの信頼性について、ここまでのやり取りを聞いて、市長はどのようにお考えになるか。
藤井市長
例えば本市の津波ハザードマップの信頼性は、国あるいは県があらゆる可能性を考慮して実施した調査に基づいて津波想定等々もしながら作成したものであり、現時点においては極めて信頼性が高いというふうに私は信じています。一方、最新のデータや知見等を用いたより精度の高い調査結果を導き出していただくことで市民の津波に対する理解が進むものと考えております。もちろん、我々も防災危機管理部を中心に、今、議員御指摘のとおり、正しく理解して正しく避難行動を取るということが前提であり、訓練等々を通して、正しい知識あるいは行動をできるように市民の皆さんに周知したいというふうに考えています。
いずれにしましても、新たな危機だとか情報、調査結果が示された場合は速やかに変更して、着実にハザードマップに落とし込んで行動を取れるようにやっていきたいですし、市民への普及あるいは啓発、あるいは避難行動が取れるように確実に訓練につなげてまいりたいというふうに思っています。